2026/09/13

雨々降れ降れ もっと降れ~

  「これまで経験したことがない大雨。命の危険が迫っているため身の安全を確保する行動をとってください」「線状降水帯が発生する恐れがあります」。

 TVニュースは連日、この呼び掛けを何度も繰り返しました。濁流が渦巻く川、土砂崩れでつぶれた家々、冠水した田畑、床上まで浸水した街の商店街、大きく水しぶきを上げて走る車、水没したアンダーパス・・・。

 6月の九州北部、7月の熊本に続いて、8月から9月にかけては千葉、北陸、東海、関東と全国で豪雨被害が続きました。過去に何度も豪雨被害を見ていますが、今年のように様々な場所でゲリラ豪雨が連続して発生するのは初めてです。地球温暖化による様々な要因が複雑に絡み合って発生しているようですが、本当に「どうなっているの」と言いたくなります。

 今年の日本国内での年間総雨量や大雨発生回数が「過去最高」かどうかは、まだ年半ばなので公式発表がありませんが、気象庁によると、局地的な大雨としては観測史上最大(過去最高)の記録を更新する事例が相次いで発生していると言います。気象庁の異常気象分析検討会でも「過去の経験や常識が通用しづらくなってきた」と指摘されているそうです。やはり今年は「異常な夏」なのでしょう。

 豪雨と言えば、若い時分に長く暮らしていたフィリピンを思い出します。熱帯性気候のフィリピンでは、6月から11月にかけての雨季は、午後には必ず熱帯特有の「スコール」に見舞われます。滝のように音を立てて、叩きつける激しい雨ですが、短時間で過ぎ去るので、スコールの後は一瞬涼しくなって気持ちがいいものです。

 「南国のスコールとはこういうものか」と初めて知り、これに比べると「日本の雨は違うなあ」と思ったものです。

 ところが、今夏の連続豪雨を見る限り、日本もフィリピンと同じ「熱帯気候帯」に入ったのではないか、と考えてしまいます。

 日本は雨の恩恵を受けて、世界でもっとも豊かな水資源に恵まれる国と言われます。ただ急峻な山国であるため「暴れ川」が多く、毎年のように台風シーズンになると、大きな被害が出ます。有史以来、「治水」が常に為政者の課題でもありました。日本人にとって水は昔も今もずっと怖い存在なのです。 

 それでも、豊富な水をもたらしてくれる雨は、人が生きていく上で、なくてはならない大事なものです。自然をかたちづくり、生活や文化の一部でもあり、日本人は雨とともに生きて来たのですね。

 その証拠に、日本では雨を歌った楽曲が多いように思います。「あんた古過ぎる」と笑われそうですが、あえて選んでみると、童謡では「あめふり」(北原白秋作詞、中山晋平作曲)が有名です。

 あめあめふれふれ かあさんが じゃのめでおむかえ うれしいな。 ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン

 カラオケの人気上位は、徳永英明の「レイニーブルー」、恋音と雨空(AAA)、中西保志「最後の雨」だとか。洋楽では私の知るところ、「悲しき雨音」(カスケーズ)、「雨に濡れても」(B.J.トーマス)、「雨を見たかい」(C.C.R)。

 雨が多い日本の方が、洋楽よりも雨の歌が多い感じがします。しかも雨とともに失恋や大事な人を想うイメージが強く、雨をロマンチックなものととらえる傾向もあります。

 演歌も「長崎は今日も雨だった」「氷雨」など名曲が数多くありますが、昭和の人間としては、やはり、これしかないでしょう。

 八代亜紀の「雨の慕情」(阿久悠作詞 浜圭介作曲)

 サビで繰り返す「♪雨々ふれふれもっとふれ~♪」というフレーズ。別れた人への切なく、熱い想いとともに「雨よもっと降れ」と願う情念の世界。日本人( 昭和世代だけか?)の心をつかみます。

  心が忘れたあのひとも
 
膝が重さを覚えてる
 
長い月日の膝まくら(注1
 
煙草プカリとふかしてた
 
憎い恋しい 憎い恋しい
 
めぐりめぐって今は恋しい
 
雨々ふれふれ もっとふれ
 
私のいい人つれて来い
 
(繰り返し)

 私の住む地域も連日の雨で、外出の予定はほぼキャンセル。降りしきる雨を窓から眺めながら、地球温暖化のこと、子どもたちのこと、フィリピンのこと、今は亡き八代亜紀のことなど、つれづれ考えながら時間を過ごしました。

 でもフードバンクのことは忘れず。雨具で完全武装して作業に出掛けました。車はアンダーパスを避けて迂回路を。ソスペーゾ多摩のメンバーも皆、大雨に関係なく、いつも通り作業に来てくれました。ありがとうございました。

 天気予報を見ると、まだまだ雨が続きそうです。9月後半から10月の雨量は「平年並みか、やや多い程度」との長期予報。でも、どうなるか分かりません。    (有道)

 1)母子、恋人間で見られる甘え、愛情行動のひとつ。最近は恋人同士でも①ベタベタせずに離れて座る②お互いスマホが見づらい–などの理由で「減少傾向にある」との調査報告もある。 

📸冠水した道路で車が立往生

 📸優しい雨、赤い傘で誰を待つのか・・ 

📸「雨の慕情」の宣伝ポスター

再び留学生の感謝メッセージ(3)

   感想メッセージを読むと、ほとんどの学生が自炊生活をしているためか、野菜がとても嬉しい様子がうかがえます。果物も自分の国の倍以上の値段。日本ではほとんど手が届かないので大喜びです。

(漢字、平仮名とも原文ママ、カッコ内はお名前)

 【初級ⅡD

・ボランティアさん いつもおいしくて しんせつなやさい🥬🥬🥕🥕をくださってほんとうにありがとうございます。おかげさまで いつもおいしくいただいています。おきづかいに ここころからかんしゃしています。これからもどうぞおげんきでいてください。(マーシャ)

・みなさん おはよございます。サマドです。😊😊おげんきですか。いつもがっこうにおいしいやさい🍆🍆🍆をありがとうございます。こんどあってウズベキスタンのプロフをごちそうしたいです。(サマド=ウズベキスタン)

・みかん、にんじん、じゃがいも🥔🥔🥔などおいしいです。まいしゅう わたしたちはたべています。どうもありがとうございます。(シクコティ・サルザ)

・ボランティアさんへ。いつも おいしいやさいやくだものを ありがとうございます。とてもかんしゃしています。これからもがんばってください。(カーウィヤ)

・やさいとくだもの🍑🍑🍑をたべました。まいしゅう わたしたちたべています。どうもありがとうございます。😊😊😊😊 (ミザル・アニサ、プレマ、ヌリナナ、アルン、ヴ)

・やさいをたべました。ほんとうにありがとうございます。くだもの🍊🍏🍎おいしいです。(ライ・マウサム)

・わたしは やさいとくだものをもらいました。とてもおいしいです。ありがとうございます。(ケナナブ)

・おいしいやさいをつくっていただき ほんとうにありがとうございます。そのやさいは とてもおいしいです。😊(タクリナビン・シン)

・やさいとくだものとてもおいしいです ありがとうございました。(アラティ)

・やさいをいただきありがとうございます。にんじん たまねぎ キャベジ トマト🍅🍅🍅とてもおいしいです。(カラキ・アグリサ)

・やさいとくだもの🍑🍑🍑をもらいましたから とてもうれしいです。やさいたべました。くだものとてもおいしいです。(タウン・リンウケ)

・くれたやさいはとてもおいしいです。ありがとうございます。( わたしはライ・ラマソです)

・わたしは🥔🥔🥔じゃがいもとりんごをたべました。とてもおいしかったです。ありがとうございました。(アディカリ・バウサ)

 =次回に続く=    (有道) 

📸初級ⅡDのメッセージ表面


 📸初級ⅡDのメッセージ裏面 

📸初級ⅡDの皆さん

再び留学生の感謝メッセージ(2)

  前回に続き、多摩市の外国人日本語学校 東京さくらインターナショナルスクールの留学生からの感謝のメッセージを紹介します。

 寄せ書きは、田代校長が「フードバンクの方々に御礼のメッセージを書こうか」と呼び掛けたところ、学生たちが自発的に色紙やメッセージカードを持ち寄り、辞書を懸命に見ながら、あっという間に作り上げたそうです。

 学び始めて間もない日本語をこういう形で実際に役立てることができて、学生たちの嬉々とした様子に「教育効果もありますね」と田代校長は話します。

 (漢字、平仮名とも原文ママ、カッコ内はお名前)

【初級ⅡBクラス】

「いつもありがとうございます」

・たくさんおいしいくだもの🍊🍊と食べ物もらいました。やさい🥬🥬もくれてありがとうございます。★★(スヌワル・バワナ)

・くだものややさい🥬🥬とてもおいしかったです。わたしとともだち いっしょにたべました。(マガル・ニラタ)

・おいしいくだもの🍑🍑くださって ありがとうございました。わたしたちは とてもうれしかったです。(カルキ)

・やさい🥕🥕とくだものをくれて ありがとうございました(ダミロサン・シン、サハラ・アンジャリ)

・いろいろな野菜🥒🥒をいただき ありがとうございました。とても助かりました。(アザマト)

・わたしたちにたべものとくだもの もらいました。とてもおいしかったです。(タマン・アカシュ、ブダ・ミナム、ガルティ・マガルコピラ、スナル・ビパナ、ベルバセ・タンカ、バスネトスザ、カナル・シター)

・くだものをいただいてありがとうございます。みなさんのやさしさに かんしゃしています。😊😊(プン・サビナ)

・いつもおいしい野菜をありがとうございます。感謝しています。(チャンチャラ)

・おいしいたべものを いただき ありがとうございます。まいにち たのしみにしています。これからもよろしくおねがいします。(ハツャン、アチャリャ・プラカス)

・たべもの おいしいです。まいにち たのしみにしています。これからも よろしくおねがいします。(ラシカ・チャリデマル)

・たべものおいしいです。にんじんおいしいです。ありがとうございます。( ビスクカリレマアビセク)

・おいしいくだもの いただき ありがとうございました。(タマリ・プジャ)

【初級ⅡCクラス】

・おいしいたべものいただき ありがとうございます。⭐⭐⭐(ブチャ・サンガム、ニワンワル・ビバス、ラミラ=ネパール)

・きゅうりがおいしかったんです🥒🥒🥒。(マウサム=ネパール)

・おいしいくだものいただき ありがとうございました。(クサリ・ロケス=ネパール)

・ラーメンがおいしかったです。ありがとうございました。🍜🍜🍜(ソニカ=ネパール、ロン=ベトナム)

・にんじん🥕🥕🥕とみかん おしかったです。(ディルハラ=スリランカ、ヌマ、ウルミラ=ネパール)

・ねぎがすきです。ありがとうございます。(スナル・サリタ=ネパール)

・にんじん🥕🥕🥕はとてもおいしかったです。(チャパイ・ツェルマニル=ネパール)

・にんじんときゅうりおしかったです。どうもありがとうございました。(アンデンべ・アスミン)

・いただいたみかん🍊🍊🍊がおいしいです。ありがとうございます(ラメシュナラカ=スリランカ、ウルミラ=ネパール)

・みずがぜんぶ おいしかったです。ありがとうございます(ドゥック=ベトナム)

🍎🍏りんごがおいしいです。ありがとうございます。(リズワン=ネパール)

・わたしたちにやさいくれて ほんとにありがとうございます。✴✴(サウド・バルパティ=ネパール)

 =次回に続く=    (有道) 

📸初級ⅡBメッセージ表面 

📸初級ⅡBメッセージ裏面 

📸初級ⅡBの皆さん 

📸初級ⅡCメッセージ 

📸初級ⅡCの皆さん 

📸学生が喜ぶ野菜

2026/09/06

再び留学生から感謝メッセージ(1)

  いつも食料を支援している外国人日本語学校の留学生から御礼のメッセージが届きました。多摩市関戸にある東京さくらインターナショナルスクールです。

 この学校から感謝メッセージが届くのは、2026年2月に続いて2度目です。日本の物価高に苦しむ学生たちは、ソスペーゾ多摩が配る野菜、果物、お菓子、飲料などがとても嬉しいようです。

 同校に在籍する留学生はベトナム、ネパール、ミャンマー、スリランカ、ウズベキスタン、中国の6か国188人(20268月現在)。ここで2年間日本語を学び、その後は日本の大学や専門学校に進学し、最終的には日本企業に就職、または日本語を生かして本国や第3国での就職を目指しているとのことです。

 近年は円安の影響で日本企業への就職の魅力が薄れている上に、日本政府が定める就職時の職種条件などが厳しくなり、韓国などへ留学生が流れているとも言われています。

 それでも、同校で学ぶ学生たちは国籍を超えて仲良くなり、笑顔が絶えません。皆さん、まだまだ若く夢があります。ソスペーゾ多摩はこうした外国人の若者を支援し、国際交流への貢献を活動方針のひとつに掲げています。

 以下は、学生からのメッセージ。すべて日本語できちんと書いてくれました。

(漢字、平仮名表記いずれも原文ママ、カッコ内は学生のお名前)

【初級ⅠAクラス】

「いつもありがとうございます」

・おいしいくだもの もらいます。これからもよろしくおねがいします。(ティペカ)(ネパール・リビカイ)(サウド・ディーパ)(ビシプスパ)

・やさいをもらいました。わたしは🍎🍎りんご🍎🍎がすきです。(アショワ)(ネパール・サウガ)(カドカビパナ)

・くだものをもらいました。これからも🍏🍏りんご🍏🍏おねがいします。(アリジャナ)(カウタムコマル)(セティラディス)(ニルジャラ)(カドカ・ワリシュナワマリ)(カティラ・グスマン)(プン・サリタ)(ロカ・ジャムナ)

・がっこうのかえりにやさいほしいです(バッタライアズミタ)

・みずをもらいました。(ニャン・リンテツ)

・おいしいりょうりをだしてくださってありがとうございます。(ノマルシタです)

・コーヒをもらいました(オザ・プスパ)

・ありがとうございました。(ノディル)(フン)

【初級ⅡAクラス】

「どうもありがとうございます」

・たくさん みかんとりんごをもらいました。とてもおいしい。たべることができました。 Thank you(オリヒラ)

・たくさん おいしい食べ物をもらいました。本当にありがとうございます。今後は今まで以上に勉強を頑張ります。(テシ)

・たくさんの食品をいただき、とてもうれしいです。皆さんのご支援に心から感謝しています。これからもよろしくお願いいたします。Thank you(シュウ ケイイ)

・たべもの ほんとうにありがとうございます。おいしいたべものをたくさんたべました。(ケット)

・新鮮な野菜や果物を配布してくださり誠にありがとうございます。家の温かさを感じさせていただき感謝しています。(ヨウ・コウテイ)

・ほんとうに おいしいたべものを たべられました。(アーラティ)

・おいしい たべものをたべることができました。ほんとうにサービスはとてもいいでした。(サチンター・カーヴィンヂ)

・がっこうで やさいとくだものをもらいました。ありがとうございました。(クサル)

・がっこうで おいしいたべものをもらいました。にんじん たまねぎ ありがとうございます。(デベンドラ)

・学校でいつも食べものもらいます。ありがとうございます。(タルジャ・ネットサラ)

・おいしいたべもの、のみもの、やさい、ありがとうございます。これからべんきょうがんばります。(ビパナ)

・おいしいたべものを たべることがございました。😊(アニタ)

・たべもの おいしいです。たくさん たべました。ありがとうございます(ラブンシュン)

・たべものはおいしかったです。私はよくたべました。日本語がんばります!!!💛💛レチュオンビ♡♡)

・たべものはおいしかったです。私はよくたべました。いつもおいしいたべものありがとうございました。日本語をもっとがんばります。(イー ^^♪)

・やさいとくだもの うちへかえってからたべました。ありがとうございました。(プケンドラ)

・美味しいたべものいただき ありがとうございました。(タシ)

・食べ物とてもおいしかったです。ありがとうございます。(キエット)

・おいしい食べ物をいただきありがとうございました。毎日たべました。勉強頑張ります。(リタ)

 =次回に続く=    (有道) 

📸 感謝メッセージはピンクの袋に

📸 初級ⅠAクラス寄せ書き表面

📸 初級ⅠAクラス寄せ書き裏面

📸 初級ⅡAクラス寄せ書き

📸 初級ⅡAクラスの学生たち

2026/08/30

地球が逆襲する日

  「もう秋かな・・・」。先日、自宅近くの川辺を歩いていて、トンボの群れを見ました。夜は、どこからか虫の音が聞こえています。

 厳しい残暑がまだ続くと覚悟していただけに、少しでも秋の気配を感じるとホッとします。地球の地軸(自転軸)は23・5度傾いています。これは永遠に変わらないので、中緯度帯に暮らす私たちには四季があるはずですが、近年は温暖化による異常気象のせいで「狂い」が生じています。

 「今年の夏は昨年より涼しかった」と言う人がいるので、気象庁のデータを調べてみました。それによると、涼しく感じたのは8月中旬、関東を中心に暑さが少し和らいだ時があったからで、全国的には強烈な暑さが続きました。初めて5日連続の「酷暑日」(気温40℃以上)を記録したところも。気象庁の専門家は、この暑さについて「いくつかの大気の流れと地球温暖化が要因」と分析しています。

 5月から沖縄、九州北部、北陸、新潟、千葉、東北、北海道東部で「線状降水帯」が相次いで発生、局地的豪雨による大きな被害が出ました。毎日、日本のどこかで大雨による浸水被害が出ている感じです。

 世界でも、大雨や大規模水害、記録的高温、干ばつ少雨、山火事が相次ぎ、特にアジア地域や南米で深刻な被害が報告されています。まるで、人間がいじめ続けて来た地球という天体が、牙をむいて人間に逆襲しているかのようです。

 8月26日には、ネパールとチベット自治区の境界付近で大規模な土石流が発生。報道によると、死者690人以上(ネパール当局)、中国側死者7人(中国政府発表)、行方不明約3、000人(日本人ツアー客5人含む)=いずれも8月29日現在=という大惨事になりました。

 最初は「洪水」との報道もありましたが、これは間違いなく「鉄砲水」です。巨大な土石流が猛スピードで谷を駆け下りて道路、橋や建物を次々と飲み込み、周辺の村をあっという間に破壊。人々が逃げ惑う映像はSNSなどで瞬く間に拡散され、世界に衝撃を与えました。

 ネパール側現場はランタン国立公園に近いため、被災者には外国人観光客や巡礼者も含まれ、捜索が進むにつれ、犠牲者がさらに増える恐れがあります。

 原因は専門家の調査を待つ必要がありますが、衛星画像による分析で、氷河に覆われた山岳斜面が大規模崩壊を起こし、大量の氷や岩が谷を流れ下ったのではないか、とみられています。土石流の平均速度は秒速50メートル。新幹線並みの速度といいますから、巨大な自然のエネルギーの恐ろしさを感じます。

 今回の事故で、すぐに想い出したのが1963年10月9日、イタリアンアルプスで起きた鉄砲水事故。上流の発電所ダム周辺の斜面が崩れ落ちて湖に流れ込み、溢れた水が土石流となって谷を下り、麓のロンガローネ村をあっという間に吹き飛ばし、2000人を超える人々が犠牲となりました。

 この事故のことは、あるイタリア人の青年から私が直接聞いたので、詳しく憶えているのです。事故当時、小学生だった彼は、当日たまたま別の村へ遊びに行って難を逃れましたが、自宅にいた両親、祖父母、兄弟姉妹をすべて失い「孤独の身になった」と話してくれました。土石流事故は本当に恐ろしいものです。

 ロンガローネ事故はダム工事のミスと指摘されていますが、今回のネパール事故は、氷河の崩壊が引き金となった可能性が指摘されています。「地球温暖化」による「災害」が、ついにこのような形で起きたということです。

 大きく報道されていませんが、氷河がある南米ペルー、チリ、欧州アルプスでも近年、小さな氷河の崩落事故、土砂崩れ事故がかなり起きているようです。気温の上昇で氷河は世界中で溶け始めており、今回のネパールのような事故は「起こるべくして起きた」と言えます。

 「地球温暖化」の問題はすぐに解決できるものではなく、次の世代に「負の遺産」として引き継がれます。私たちフードバンク団体は、将来を背負う子どもたちを食料支援という形で見守っています。この子どもたちに「地球温暖化」がもたらす自然災害の怖さを、きちんと教えていくことが必要だと、改めて思いました。

 ソスペーゾ多摩が支援する日本語学校では、ネパールの学生多数が学んでいます。今回の大惨事にお見舞い申し上げます。    (有道) 

📸 土石流に襲われ、泥とがれきに覆われた家々 

📸 事故現場に近いランタン国立公園付近の山々 

2学期始まる

  都内の学校では2学期がスタート。始業式の朝、ランドセルを背に連れだって登校する子どもたちの姿を目にしました。

 今夏も、酷暑と豪雨、竜巻、地震といった自然災害が各地で相次ぎ。落ち着かないというか、思い切り楽しめない夏休みだったような気がします。「それでも、子どもたちは元気いっぱいの笑顔で学校に戻って来ましたよ」。知り合いの小学校の先生からの報告です。

 私たちが食を支援する子どもたちは、どのような夏休みを過ごしたのでしょうか。

 ソスペーゾ多摩が毎週欠かさず食料を配っている多摩市聖ヶ丘の「ほくの家」。ここの子どもたち、お母さん方から夏休み中に届いた「感謝のメッセージ」(8月8日付)を紹介します。(原文のママ、名前はイニシャル)      

・ありがとう。だいすきだよ。(子どもの大きな、ひらがな文字)

・夏休み、お野菜やお菓子などいつも感謝しています!ありがとうございます ♡(H

・たくさんの食材ありがとうございます。光熱費など他に出費かさむので、お野菜等とても助かっています(K

・とても嬉しいです。暑さ乗り切るゾ!!

・いつも助かっています。心がホッとします(H

・ありがとう(たどたどしく書かれたひらがな文字)

・ありがとうございます。久しぶりですが、めっちゃ助かります(I

・いつも暑い中、準備などありがとうございます。

・いろいろな食品ありがとうございます(S

・いつも、とっても楽しみです(I

・新鮮なお野菜、お菓子などいつも感謝しています!ありがとうございます♡(H

・いつもありがとうございます。とても助かっています。

・いつも本当にありがとうございます(S

・今日もたくさんで助かります☆

・いつもありがとうございます。大切にいただきます。(I

・いつも楽しみです(S)     (有道)                                                            

  📸 子どもたちとお母さんから届いた感謝の寄せ書き

2026/08/09

今また「二十四の瞳」を観る

   猛暑の中、今年もお盆の季節がやって来ます。

 「広島、長崎の原爆の日」「終戦の日」と続く日本の8月。戦争と平和のことを思う時ですが、私には忘れられない1本の古い映画があります。

 日本の映画史上、不朽の名作と言われる「二十四の瞳」(1954年、木下恵介監督・脚本)(注1)。瀬戸内海の小豆島を舞台に、激動の時代を生きた若い女性の先生と生徒の触れ合いを描いた作品です。

 幼いころ、私は母親に連れられて町の映画館で、リバイバル上映を観た記憶があります。小豆島の珍しい風景を断片的に憶えていただけでしたが、大人になって改めて観る機会があり、「反戦映画」としてのこの映画のすごさを初めて知りました。

 映画でもリメイクされ、何度もテレビドラマ化されているので、中年以上の世代なら一度は観たことがあるはずです。

 ストーリーは、昭和3年(1928年)、瀬戸内海の小豆島の岬の分教場に新任の若い女性教師「大石先生」が着任するところから始まります。児童12人のクラスの担任に。当初は田舎の古い慣習に苦労しながら、貧困の中でも純粋さを失わない子どもたち(注2)と交流を深めて行きます。

 のどかな田舎の学校にも時代の波が押し寄せ、先生は軍国主義の大きな圧力(戦争)から子どもたちの命と将来を守ろうと抵抗しますが、その後、教え子は戦地に駆り出されて戦死、先生の夫も戦死、末娘も病気で亡くします。昭和の戦争の時代に悲哀を背負って生きた女性を高峰秀子が見事に演じています。

 映像が美しく、物語の構成が素晴らしい。白黒の銀幕の中での高峰秀子の美しさ、目を奪われます。

 この作品のテーマは、先生と生徒の「師弟愛」でもありますが、私には「時代の流れに翻弄される人の運命」「どうしようもできない人間社会の不条理」の方に強く心を動かされました。

 昭和3年から21年まで18年間の物語。戦闘場面はひとつもないのに戦争の怖さ、悲しさを徹底して描いています。封切り当時は、戦争を生き抜いた戦中派の人がまだ多く建在だったので、「涙なしではみられない映画」と言われたようです。戦争体験者でなくても、日本人なら、この映画を観て涙を流さない人はいないでしょう。

 現代の若い人がこの映画を観て何を思うのでしょうか。

 98年前の日本の話。映画の中に見る風景や時代状況、人々の価値観があまりにも今の時代とかけ離れていて、恐らく「歴史物語」か「遠い異国の世界の物語」にしか見えないかもしれません。私たち昭和の世代には明治時代を「教科書で知る歴史」と考えるように、今の若い平成、令和の世代には、昭和が私たちの明治と同じく「教科書で知るだけの歴史」という人が増えているそうです。

 風景や時代背景が今とは全く異なっていても、この映画が訴える「いかなる時代も変わらない人間社会の不条理と人間の尊さ」は、現代にも通じるものがあるように思います。「日常の生活が突然、時代の運命に奪われる」という怖さです。

 現代はモノにあふれ、繁栄しているかのように見えながら、世界各地で終わりなき戦争、国内でも貧富の格差拡大、教育格差の拡大、個人の尊厳が無視される殺伐とした社会です。

 今、改めて「二十四の瞳」を観るのも良いかもしれません。   (有道)

(注1)原作は壷井栄の同名のロングセラー小説

(注2)演技経験のない素人の子どもを全国で公募、
   12組24人の子どもたちが演じた
 

📸 封切り時のポスター、時代を感じる 

📸 「大石先生」と12人の子どもたち