2026/06/28

東京都生協連が75周年

  生活協同組合(生協CO-OP)の連合組織、東京都生活協同組合連合会(東京都生協連)が今年、創立75周年を迎え、このほど都内で記念レセプションが開かれました。

 私たちソスペーゾ多摩も、東京都生協連の創設75周年を心よりお祝い申しあげます。

 記念レセプションには各会員生協、東京都、日本生協連・連合会、消費者団体や関係企業の代表ら約300人が出席しました。

 冒頭、主催者を代表して連合会の秋山純代表理事が「75年の歴史を支えてくれた皆様に厚く御礼申し上げる」と挨拶、「難しい社会環境の下、試練やリスクを乗り越え、生協本来の原点に立ち返り、誰もが安心して暮らせる地域社会を目指す」と決意表明しました。

 来賓として挨拶に立った小池百合子東京都知事は「食の安全・安心の確保、災害時の被災地支援など生協の多様な取り組みに敬意を表する。東京都も幸せを実感できる都市づくりに向け、ともに歩んでいきたい」と述べました。

 記念レセプションには都内のフードバンク団体も招かれ、私たちソスペーゾ多摩はメンバー3人が出席。日ごろの食料支援に改めて御礼を申し上げるとともに、各生協団体の方々と懇談しました。

 「フードバンク団体」のテーブルでは、私たちのほかに「フードバンクくにたち」の蓬田俊子代表理事、根岸祐司理事、「フードバンクいたばし」の藤村行一住職、「フードバンクこだいら」三富和子代表、「フードバンクはむら」「フードバンクむさしの}の代表の方々が顔を合わせ、それぞれの取り組みや抱負など情報交換しながら、懇親を深めることができました。

 東京都生活協同組合連合会(注1)が設立されたのは1951年と言います。サンフランシスコ平和条約が調印され、日本が米国の占領から独立、国際社会に復帰した年です。会場で配られた小冊子「東京都生協連75年の歩み」を読むと、戦後の復興から高度経済成長、そして現在に至るまで、日本の戦後の歴史とともに、消費者の側に立つ生協市民活動が歩んできた道のりがよく分かります。

 同生協連によると、一時は事業の拡大に伴い「他のスーパーと変わらない」などの批判もあり、生協本来の意義を見つめ直す時期もあったそうですが、今は、高齢化、共働き、単身世帯が増える中で、「個人宅配事業」が社会的に大きな役割を果たしているとのことです。その上で、社会情勢の変化に伴い、本来の食料、生活用品供給事業のほかに、「地域の見守り」「生活困窮者支援」「防災、減災」など幅広い分野での取り組みも進めていると言います。

 都内ではフードバンク団体や社会福祉協議会などと関係づくりを進め、現在50を超える団体、法人と情報交換や物資支援などで連携、協力。私たちソスペーゾ多摩が定期的に青果、生活物資などの寄贈を受けているのも、こうした取り組みのひとつなのでしょう。

 ソスペーゾ多摩の活動地域にあるパルシステム東京多摩配送センターも、地域との連帯意識が強いところで、スタッフの方々が配布食品の仕分け、子ども食堂やパントリー(食品配布)作業を手伝ってくれます。

 この他にも、東都生協が予備野菜の提供、コープみらいは店舗でのフードドライブなど、それぞれ子ども支援をサポートしています。

 生協団体からの支援は、ソスペーゾ多摩にとっては大きな支えです。感謝しています。  (有道)


 (注1)現在の会員生協数は66団体、組合員数315万4,000人(20263月末現在)。

📷 記念レセプションでは鏡割りも(東京・中野セントラルパークカンファレンスで) 

📷 出席した都内のフードバンクの皆さん。左から2、3番目がソスペーゾ多摩のメンバー。

NZ産リンゴで手づくりケーキ

  東京・稲城市の「もみの木」子ども食堂から手づくりケーキのプレゼントがありました。

 先日、青果を受け取りに見えた「もみの木保育園」の田中逸美先生が「少しですが試食にどうぞ」と、私たちボランティアにも分けてくれました。以前に配った🍎🍎🍎ニュージーランド産りんご🍎🍎🍎を使って焼いた自家製パウンドケーキだそうです。

 早速、自宅へ持ち帰って美味しくいただきました。りんごがしっとりと甘いケーキの味を引き立てます。ソスペーゾ多摩が配る果物が、ケーキの材料として上手に利用され、子どもたちに美味しく食べてもらえるのは嬉しい話です。

 私たちは地元の青果問屋から余剰の青果を提供していただいています。ただ、5月から6月にかけての時期は、果物の出荷が季節的に端境期。冬から春にかけての、みかん、ポンカン、甘夏など柑橘類のシーズンが終わり、桃やブドウ、スイカ、トマトなど夏の果物まで、フードバンクも提供を受ける果物類が減ります。

 市場では、この期間、果物は「輸入もの」でつなぐそうです。なので、フードバンクも5月、6月はキウイ、オレンジ、りんごなどの比率が高くなります。

 この青果問屋の社長さんが、私たちメンバーの一人に「今は果物が少ないけど、もう少し待ってね。これから桃やトマトが届くようになるから」と言ってくれます。

 「もみの木食堂」が焼いたケーキの材料は、果物端境期のNZ産リンゴだったわけです。子どもたちはこうした事情まで知らないでしょうが、「美味しい」と言って食べてもらえれば、それだけで嬉しいです。

 青果問屋の社長さん、もみの木食堂の田中先生、いつもありがとうございます。 (有道) 

📷 手づくりパウンドケーキ 

📷 色鮮やかなNZ産リンゴ

2026/06/21

白いイチゴ初めて食べた

  5月のある晴れた日。急に思い立って富士山へ行って来ました。白い冠雪が残る富士は、浮世絵のような優美な姿を見せていました。

 澄み切った湧水で知られる忍野八海は外国人観光客であふれるほど。一人の男性旅行客にスマホで写真の撮影を頼まれました。富士山を背景に「白いイチゴ」のパックを手に持つ姿を撮ってほしいと言うのです。

 「富士山と白いイチゴ」という構図が面白い。アングルを変えながら5、6回シャッターを押しました。撮影を終えて「白いイチゴは珍しいですか」と声を掛けると、「聞いてはいたけど、初めて見ます。日本人はすごいもの作りますね」と言いながら、「あなたもどうぞ」とイチゴのパックを差し出します。

 「僕はアメリカのボストンから」「私は東京からです」と握手。彼は30歳代前半ぐらいでしょうか、一人旅のようです。ファーストネームを名乗り、初対面ですぐに打ち解けるのはさすがにアメリカ人です。

 「仕事は何をしているのか」と聞くので「仕事ではないけど、時々フードバンクのボランティア活動をしている」と答えると、「それはすごい。今、アメリカでもフードバンクが増えていますよ」と言います。

 「アメリカはインフレ、物価高で、年収10万ドル(1,600万円)でも貯金できない、というのは本当ですか」と聞いてみると、「そうです。物価高騰のペースが早すぎて収入が追いつかない。住宅費、食料、ガソリン代などトランプ政権になって物価高が進み、貧富の格差がさらに広がっている」。「日本はアメリカほどひどくないでしょう?」「いやいや、日本も確実に格差が広がっています」といった話になりました。

 「でも、日本と比べるとアメリカは高収入と言われていますね。大学を出たばかりのAI技術者が、就職の雇用条件として年収100万ドル(1億6,000万円)の報酬を要求すると聞いたけど、本当の話?」「いや、それはひと握りの特別な才能を持つ人。ふつうのAI技術者は平均年収10万-20万ドル(約1,600万ー3,200万円)。大学卒業したばかりだと年収5万ドル(800万円)程度かな。実は、僕もAIエンジニアなんです」

 AI革命と言われ、これからはAIがすべてを支配する時代。米国でAI技術者の彼は「将来に不安もなく恵まれた人生」のように見えました。でも、話を聴くと、そうでもないようです。

 「今のアメリカは実利一辺倒、カネ、カネの世界。あの人(That man )が大統領になってからアメリカは完全におかしくなった。国が分断され、何が本当か信じられない社会。トランプ一族の疑惑が次々と明らかになっても、国民もメディアも慣れっこになって怒りもしない。社会正義など消えてしまった」。そして「自分もアメリカ人としてのプライドを持てなくなった」と言います。

 彼は恐らくアメリカ東部のエスタブリッシュメントなのでしょう。ここはリベラル色の強い土地柄です。だから、でしょうか、反トランプの発言(注1)がポンポン飛び出します。ベンチに腰かけ、「白いイチゴ」を2人でつまみながら、静かな口調ながら彼の話は止まりません。

 時計を見ると半時間が過ぎており、「あっ、大変。バスの時間があるので行きます」と言って立ち上がりました。翌々日には日本を離れ、ベトナムへ向かうそうです。最後に「休暇中ですか」と聞くと「今はパソコン1台あれば、どこにいても仕事ができる。世界中にオフィスがあるようなもの」だとか。なるほど、今はそういう時代なんですね。お互い「グッドラック」と言って別れました。

 偶然出会って、束の間の歓談。中身の濃い不思議な時間でした。   (有道)

 (注1)シリコンバレーのテック企業は以前は民主党支持だったが、今はトランプ支持に。 

📷 忍野八海から見る富士山 

📷 白いイチゴは高級フルーツの味

2026/06/14

食料配布と子ども食堂

  拝啓 梅雨の季節を迎え、不安定なお天気が続きますが、皆さま、いかがお過ごしですか。

 野菜や果物、お菓子など食料を受け取る際に、皆さんが必ず書いてくれる「感謝のメッセージ」。いつも、ありがとうございます。私たちボランティアは皆さんと直接、顔を合わすことが少ないので、この寄せ書きは大きな励みとなっています。

 フードバンクからの食品は量的にも、また品種の面でも皆さんのご期待に沿えないことがあります。それでも寄せ書きにはいつも「ありがとう。美味しいです」との文字が並んでいて嬉しいです。 

 最近は、企業などから食料を調達するのが難しくなっていますが、子どもたちがお腹をすかせないように、私たちも精一杯頑張ります。

 梅雨の後は猛暑。皆さんは自転車や徒歩の方も多く、辛い季節ですね。お身体大事にお過ごしください。   敬具

 今回は、子どもたちへ食料を渡すお手伝いをする多摩市聖ヶ丘の「祥鶴」( しょうかく、荒井永理代表理事)を紹介します。

 ソスペーゾ多摩は規模が小さなフードバンク団体なので、個別配達できる態勢になく、各家庭へ食料を渡すのは「祥鶴」のような「中間支援団体」にお願いしています。「祥鶴」の本業は一般社団法人のデイサービス。その傍ら、食料配布(パントリー)と子ども食堂を通して地域の支援活動を続けています。いずれも、荒井代表とボランティアによる無料奉仕です。

 ソスペーゾ多摩が提供する食品に加えて、政府の補助物資のほか、地元支援者が寄贈する農産物や食料物資を配ります。配布先は現在、約30~40世帯。ひとり親家庭が多く、基本的に毎土曜に平均1世帯あたり5kgほどの食料を配っているそうです。

 ここの特色は、配布先の家庭をきちんと登録。各家庭のお母さん方と付き合う中で、配る側がプライベートに配慮しながら、子どもの数、家族の健康状態など事情を把握していることです。支援する側と、される側が女性同士、お互い話しやすいということもあるのでしょう。

 フードバンクは「本当に困っている家庭」に食料を届けているのか、支援対象者の特定にいつも頭を悩ましています。ここ「祥鶴」では配る側が各家庭の情報を持っているため、的を絞って、きめ細かい配布が可能となります。

 もう一つの特色は、支援家庭のお母さん方が食料を受ける一方で、食料の整理、仕分け作業などにボランティアとして参加している点です。自分が助けてもらう代わりに、他の人を助けるという仕組みです。私たちソスペーゾ多摩からも2人が毎週、ボランティアとして配達、仕分け作業の応援に入っています。

 荒井代表理事によると、「祥鶴」では、飼っていたシェルティ犬が地域の人気者で、学校帰りの子どもたちが集まるようになり、最初はお菓子などを配っていたのが子ども食堂「ほくの家」に発展、5年ほど前から生活が大変な家庭の子どもたちに食料配布を始めるようなったということです。

 食料配布の一方で、今は子ども食堂を毎月1度、お昼に開いています。子どもは無料、大人は「自由料金」。食事をお弁当のかたちで取りに来る子どもたちもいます。

 私が訪問した日は大学生も含むボランティア4人が手伝い、30食分を用意。ちょうど女子中学生2人と、親子4人連れが昼食の真っ最中でした。コロッケカレーにスープ、サラダ、デザートが付いてかなりのボリューム。女子中学生は「ここのカレーはすごく美味しい。タダで食べられるのも嬉しい。友達と一緒にいつも来る」と笑顔を見せていました。

 私も試食してみて「人気が出るはず」と納得しました。    (有道)  

📷 食堂案内板のそばに立つ子ども見守り犬「あお」(シェルティー=シェットランドシープドッグ)。初代の「ほく」はこの世を去った。

2026/06/07

AIに相談しますか

 プロ野球読売ジャイアンツの監督が家庭内暴力の容疑で逮捕される事件が起きました。

 政治家や芸能人の個人生活に絡むスキャンダルには関心がありませんが、今回はDVというよりChatGPTをめぐる議論に発展したので、改めてこの問題を考えてみます。

 報道の範囲でしか分かりませんが、監督から暴力を受けた長女がChatGPTに相談し、そのアドバイスで児童相談所に連絡、警察が駆けつける騒ぎになった、ということのようです。今や、ChatGPTに絡むトラブルは日本でも海外でも珍しくなく、これが有名人ではなく、一般人の事件だったらニュースにもならず、まったく注目されなかったはずです。

 事件後に公表された長女の手紙には、自らの意向に反して父親が逮捕されたことへの驚きと戸惑いが書かれています。「こんな騒ぎになるとは思ってもいなかった」ということでしょう。児童相談所や警察が民事の家庭問題にどこまで介入すべきか、常に問われる難しい問題です。

 仮にChatGPTでなく、親しい友人や信頼できる大人に相談していたならば、どうなっていたか。「もう少し冷静になって話し合ってみたらどうか」などのアドバイスがあったかもしれません。いずれにしても、ChatGPTの答えが適切だったのか、今となっては何とも言えません。

 内閣府が20262月に実施した「生成AIの利用実態に関するアンケート」によると、利用者の2割超が毎日AIを使用。特に10代女性の524%が「悩み相談」の相手としてAIを利用しており、若年層における日常的なメンタルケアやアドバイスの手段として生成AIが定着しています。

 知り合いの研究者(注1)の話では、AI(人工知能)は、各情報に対する人間の評価を基に学習して、評価が高く、ユーザーが喜び、同意してくれる情報ほど「良い回答」として集約します。結果として、AIの回答は相手に話を合わせる方向へ傾いていくのです。

 AIへの相談は、悩みを打ち明けると「優しく受け止めてくれる」のが特徴。「辛かっただろうね」「あなたは悪くない」などの言葉に救われます。「何、バカな事をやっているのか」などと決して怒ったりしない。しかも24時間、いつでも話を聴いてくれ、秘密は絶対守ります。匿名のSNS上で悩みを打ち明けると、ひどい言葉を投げつけられたり、炎上したりする危険もあります。「AIなら傷つけられることはない」ということです。

 一方で、AIとの心地よい会話で引き出す回答は、現実の厳しさに目を背けることにもなります。AIが相談者に「寄り添ってくれる」のは、別に「心優しい」からではなく、顧客をつかんで、しっかり課金(相談料)して稼ぐビジネスのためです。

 ところで、私たちフードバンクが支援する家庭では、ChatGPTなどAIの悩み相談にどう向き合っているのでしょうか。ソスペーゾ多摩がアンケートを実施したこともなく、実態はよく分かりません。

 支援家庭の中には「仕事や病気」など悩みを抱え、経済的に苦しむ人も少なくありません。相談して頼れる親類や友人も少ない「ひとり親家庭」もあります。辛い時に人は相談相手を求めます。どうしてもChatGPTなどに相談したくなるでしょう。

 大人は「AIの危うさ」を承知で付き合うことができますが、子どもたちはAI情報を疑わずに受け入れてしまいます。ChatGPT相談やチャットに過剰にのめり込まないように、きちんと見守ってあげる事も大人の役割だと思います。    (有道)

(注1)AIではなく実在する人間。このコラムでは基本的にAI情報は扱わない。

2026/05/31

応援はTV観戦で

  サッカーのワールドカップ( W杯)北中米大会がいよいよ始まります。サッカーファンは待ちきれないでしょう。

 先日、友人らと会った時も、やはりW杯(注1)の話題で盛り上がりました。日本代表がどこまで勝ち進めるのか。日本が入る1次リーグF組は「オランダ、チュニジア、スウェーデン」といずれも強豪ぞろいで「死の組」と言われています。

 米大陸でのW杯ということで、どうしても「トランプ大統領(注2)と米国の物価高」の話に。このコラムで1か月ほど前に取り上げた「ワシントン桜祭り」を読んだ人がいて、「屋台の焼きそばが3,000円! アメリカはインフレがすごいとは聞いていたけど、とんでもない高さだな」とあきれていました。

 彼は根っからのサッカーファン。6月11日(日本時間12日)から始まるW杯で日本代表の応援に行くつもりでしたが、チケット代ばかりか、ホテル代や食費、航空運賃など、なにもかも、めちゃ高で予算を大きくオーバー、泣く泣く現地行きを諦めたそうです。日本戦の舞台となるテキサス州ダラスのホテル代が、交通の便が良い市内中心部だと安くても1泊300ドル(約47,000円)と聞いて、「さすがに腰が引けた」と言います。円安と物価高の影響をもろに受けた格好です。

 W杯のチケット料金は座種や試合のステージによって異なりますが、各種報道によると、今大会では、一般席(スタンダード)が200ドル(約31,000円)~。決勝トーナメント日本代表戦は一番安くて約490ドル(約76,000円)。決勝戦は最高1万ドル(約160万円)。人気が出てプレミアム料金ともなれば、一席だけで3万ドル(約470万円)以上にも跳ね上がると言われます。

 本当に「どうなっているの」と言いたくなりますね。フランスのレキップ紙は「狂気のチケット価格に世界中のサポーターが激怒」との見出し記事を掲載。「サッカーが持つ『庶民のもの』という性質は、完全に吹き飛ばされてしまった」と厳しく批判しています。

 私の知人に、もう一人、「米国の物価高」に泣いた人がいます。彼はサッカーではなく、米大リーグのファン。NHKBSの大リーグ中継で連日、ドジャース大谷翔平選手に声援を送る全国の何百万人(中高年多し)のうちの1人です。「大谷という100年に1度出るか出ないかのスーパーアスリートを、生きている間に一度自分の目で見たい」とずっと前から言い続けてきました。ところが、この前、会った時は「観戦ツアー料金を聞いて驚いた。もう手が届かないよ。楽しみにしていたけど諦めた」と肩を落としていました。

 大リーグのチケット相場もかなりのものです。リーグ全体のチケット料金が平均約30〜250ドル(約4,700〜40,000円)。チームや座席によってかなり差がありますが、ロサンゼルスドジャースのような人気チームや週末の試合では価格がぐんと高く、平均180ドル(約28,000円)を超えるようです。日本のプロ野球のチケットも決して安くはありませんが、米大リーグは日本の2-3倍以上と見ていいでしょう。

 それでもドジャーズの試合などは、球場は4万人、5万人の超満員となります。外野席の安いチケット(それでも10,000円以上)を手に入れてベースボールを楽しむアメリカの一般市民の姿があります。

 一部報道によると、今度のサッカーW杯には、日本から数千人規模のサポーターが応援に行くと予想され、外務省は「犯罪などに巻き込まれないよう」注意を呼び掛けています。熱心なサポーターはいるものです。

 一方で、最近の物価高に苦しむ大方の日本人は、W杯や大リーグの現地観戦など考える余裕もないでしょう。ましてや、私たちソスペーゾ多摩が食料支援する家庭となると、毎日の生活に追われて、それどころではありません。

 でも、W杯も、大リーグも、TV観戦で十分応援できます。パブリックビューイングもあります。特にNetflixが放映権を独占した今年3月の野球のWBCと違って、W杯は日本代表の試合を地上波、BSで観戦できるので、私のようなものには、ありがたいです。

 直前に迫ったスポーツ界最大の祭典、サッカーW杯を一緒に楽しむことにしましょう。         (有道) 


(注1)96年に及ぶW杯の歴史上、戦争当事国がホスト(開催)国となるのは米国が初めて。

(注2)FIFA(国際サッカー協会)は昨年11月、「FIFA平和賞」の創設を突然発表、トランプ米大統領が受賞した。

2026/05/17

クルーズ船で感染症

  地球上の「地の果て」はどこか、と聞かれれば、迷うことなく「南米大陸最南端のフエゴ島」と答えます。

 南緯54度、西経69度に位置するこの島は、1年中雪に覆われた2,000m級の山々が迫り、荒涼とした風景が広がります。夏でも強風が吹き荒れ、島の北側を大陸と隔てるマゼラン海峡は航海者にとって難所中の難所、昔から数々の船が難破し、「船乗りの墓場」と言われて来ました。周辺の島々にはペンギンとアザラシが群れ、さらに1000キロ南下すると、南極大陸に到達します。

 5月に入って「ハンタウイルス感染」のニュースを聞き、30年ほど前、この地を訪ねた時の記憶を想い起こしました。感染の舞台となったクルーズ船「ホンディウス」が出港したのが、このフエゴ島(注1)の街 ウシュアイア(注2)でした。

 南米アルゼンチンでは昨年から「ハンタウイルス・アンデス型」(注3)の感染が拡大していると伝えられており、今回の集団感染の報に「またか」と一瞬、不安が頭をよぎりました。4年前の新型コロナウイルス世界的流行(パンデミック)の記憶がまだ新しいからです。

 通信社の報道などによると、このクルーズ船は4月1日に28か国、約150人の乗客・乗員を乗せて、ウシュアイア港を出発。南極圏や大西洋を航海中に乗客の感染が確認され、9人が感染、疑い2人、3人が死亡する事態(JST5月14日現在)となりました。

「クルーズ船で集団感染」と聞くと、日本のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を思い出した人も多いはず。新型コロナウイルス感染の発生後、横浜港で乗客を長い間、船内隔離し、大量の2次感染者を出したケーズです。

 この反省を生かしたのか、今回の「ホンディウス」の各国対応はかなり素早かったようです。スペイン政府が乗客の下船受け入れを決め、5月10日、最終目的地のスペイン領カナリア諸島テネリフェ島で日本人一人を含む乗客全員が下船、検疫の後、それぞれ急派された航空機で本国に移送され、経過観察・隔離されたと言います。

 感染源は、クルーズ船乗客がフエゴ島で接触した陸上動物ともいわれますが、詳しくは確認されていません。世界保健機関(WHO)は、ハンタウイルスは潜伏期間が長いので警戒が必要としながら、各国内で感染拡大するリスクは低いとして冷静な対応を呼び掛けています。

 WHOが言う通り、今回の「ハンタウイルス集団感染」に私たちは過剰反応する必要はありませんが、「感染症への警戒を常に怠らず」との自覚を再認識する良い機会になったと思います。

 厚労省によると、新型コロナ感染症は今でも日本で年間推計3万5000人以上が死亡(2024年)しています。規模は縮小傾向、マスクをしている人も少なくなりましたが、決して「終わった感染症」ではない、ということです。

 2019年12月に最初の感染が確認された新型コロナウイルス禍による死者は。世界で推定1,590万人(WHO)に上ったとされます。日本に住む私たちも親族や知人を失い、失職、休職など経済活動の停滞は弱者の生活を直撃しました。私たちフードバンクが食料支援する家庭で進学を断念した子どももいました。

 あのような辛い経験は2度と繰り返してほしくない、特に子どもたちには経験させたくない、と誰もが思うでしょう。

 今回のハンタウイルス感染でも、世界中でSNSなどを通じて偽情報、偽動画・画像が流れ、不安を煽っています。困ったものです。偽情報に踊らされず、冷静な対応が求められます。      (有道)

(注1)西側ほぼ半分がチリ領。東側がアルゼンチン領。

(注2)世界最南端の街。古くは、日本の網走と同じく政治犯、重罪犯の流刑地。大きな刑務所跡が今も残る。30年前は人口3万人。今は観光、移住者が増えて8万人。

(注3)ネズミなど、げっ歯類動物が持つウイルス。感染すると、「ハンタウイルス肺症候群」を発症、重症化で呼吸不全を起こし致死率は40~50%に上る。

📷 ウシュアイアの街

📷 クルーズ船「ホンディウス」