ここへ来て、お米の価格が大きく下落しています。
各種報道によると、9月初めの段階で全国の店頭平均価格が2年ぶりに5キロ3,000円を割ったということです。自宅近くのスーパーでは5キロ2,500円前後のお米を見ます。今年初めには4,500円近い最高値をつけていたので、ほぼ半額近くに下落、いや暴落です。
諸物価が軒並み値上がりする中で、食卓を支える主食の値下がりは消費者にとって朗報となります。お米の高騰に苦しんだ消費者としては、「ほれ、見たことか」と言いたくなりますが、生産者のことを考えると、手放しで喜ぶわけにはいきまません。
私たちフードバンクも今回のお米の高騰には振り回されました。特に、私たちが支援するような家計に余裕がない家庭は直撃を受けました。4,000円を超えるお米にはとても手が届きません。以前は5キロ2,000円台で買えたのです。2025年6月22日付のこのブログでは「ご飯のお代わりを遠慮する小学生」の話を紹介しました。
ソスペーゾ多摩も、企業などから提供されるお米がガクンと減りました。ある企業(ジョイパックレジャー社)は地元農家から高価格で買い上げてお米の提供を継続。生協パルシステム東京は「申し訳ないが、お米をどうしても確保できない」として、代わりに2度にわたり大量のパンを提供してくれました。ソスペーゾ多摩はこの2年近く、協力企業の理解を得て、量は減りましたがお米を少しづつ配り、フードバンクとしての責任をなんとか果たしてきました。
コメ価格高騰は2024年、前年のコメ不作に加えて、新型コロナ禍が終息してインバウンドと外食産業の回復、需要が急に拡大したたことで始まりました。業者内の集荷競争も価格の高騰に拍車をかけたのです。
ところが、25年に入ると天候に恵まれて豊作となり、政府備蓄米放出、海外からの輸入米が増えて、一転して供給過剰になりました。しかし、消費者に広がった米離れで需要は元に戻らず、現在の価格大幅下落を招いた、というのが、これまでの経緯です。
農産物価格はもともと、気候による収穫の豊作・不作、経済情勢、需要などに大きく左右されるものです。特に日本では、政府が需要を予測したうえで、多額の税金を注ぎ込んで主食のコメの価格維持、生産者保護政策に力を入れています。なのに、今回のように消費者を苦しめる高値誘導、生産者を苦しめる価格急落という一連の乱高下がなぜ起きるのでしょうか。どうみても、農政の失敗としか言いようがありません。長期的な見通し、実態把握ができない日本のコメ農政の構造的・政策的欠陥です。
異常気象、生産コストの増大など、最近のコメ生産は不確定要素が多く、突発的に需給バランスが崩れ、コメ価格乱高下がまた起きる可能性は十分にあります。今回のコメ価格乱高下を反省し、コメ生産、流通政策をただちに見直す必要があると思います。
すぐに改革してほしいのは「コメ流通業界の不透明性」です。「コメは倉庫にありますと言いながらスーパーの棚は空っぽ」「政府備蓄米が放出されたのに、一向に店頭へ届かない」などの不思議。「コメ価格がなぜ高騰するのか」誰も解説できない不思議。こうした消費者の疑問に政府からの説明が不十分なので、消費者の不安は強まるのです。
生産コストの上昇で苦しむ生産者は、価格アップに救われたのは事実ですが、今は、価格下落で借金も返せず、廃業に追い込まれる人も出るのでは、とも心配されます。結局、「令和の米騒動」で誰が得したのでしょうか。
消費者の間では確実に「米離れ」が進みました。フードバンクも、米ではなくパスタや麺類の配布を増やさざるを得ませんでした。「お米さえあれば、お腹を満たすことができる」と言っていた子どもたちが、パスタや麺類の味になじんだ後に、再び「白いご飯」に戻ってくるのでしょうか。
私自身、もともと「日本のお米大好き人間」ですが、今や麺類、パスタ、外国産(タイ)米を使った食事のメニューが増えました。もともとエスニック料理が好きだったので、あまり抵抗がありませんでした。 (有道)
📸 近所のスーパーには値下げしたお米が並ぶ
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