輝く春!若者たちが入学、就職で新しい人生へのスタートを切る希望の季節です。
彼らの晴れやかな顔を見るのは、気持ちがいいですね。
この時期、家電量販店などはこぞって「新生活応援キャンぺーン」を展開。自宅近くの大型家具店に行くと、「新生活スタート2点セット洗濯機4.5kg+冷蔵庫88L 39,800円!」の商品が並んでいました。親元を離れて独り暮らしを始める若者たちの需要があるようです。
かつて、就職や進学で都会へ出て来た人たちは、故郷をあとにした時のことを長く心に留めていることでしょう。今も歌い継がれる名曲「いい日旅立ち」(注1)が懐かしいです。(ちなみに、私は学校を出てすぐに地元で働き始めたので、新生活を始めたとの実感はなく、「新生活応援セール」とも縁がありませんでした。)
確か、東北大震災が起きた翌年の2012年3月だったと思います。この時に観たTVドキュメンタリー番組の一場面が今でも忘れられません。場所は、福島かどこかの仮設住宅、または避難先アパートだったような気がします。「明日は就職先の東京へ向かいます」というナレーションとともに、母娘が旅行の支度をしているところでした。嬉しそうにスーツケースに荷物を詰める娘の傍らで、娘の白いブラウスに黙々とアイロンをかける母親。子供が巣立つ時の親の想いが、この母親の表情から伝わってきました。
翌朝早く、このお嬢さんは東京行きの長距離バスで出発します。走り去るバスを涙ながらに手を振って見送る母親の姿が、今も強く印象に残っています。巣立って行く我が子を送り出す親の想いは、「幸せになってほしい」という期待と不安、そして寂しさが入り交じり、複雑なものです。
この家族が震災でどのような被害に遭ったのか、詳しい状況は忘れてしまいましたが、今月11日で東北大震災発生から15年になります。この娘さんはその後、どうしているのかな、お母さんはまだ地元に残っているのか、と今でも思うことがあります。
ソスペーゾ多摩が支援する家庭の子どもたちは、まだ小中学生が多いのですが、この子供たちもあと何年かすれば進学、就職し、新たな人生へ第一歩を踏み出すことでしょう。東京なので、親元を離れる子は多くはないでしょうが、「子供には幸せになってほしい」という願いはどこの親も一緒だと思います。
昨今の社会状況を見る限り、私たち大人は「幸せな未来に向かって頑張りなさい」と自信を持って子供たちを送り出せるのか、疑問に思えてなりません。日本の経済状況、生活環境が今後どうなるのか、先行きの見通しがつかないからです。
温室効果ガスによる異常気象、国家財政の膨大な債務超過(借金)といった大人世代からの「負の遺産」は、そっくり次の世代にツケとなって残されます。これからの子どもたちに「解決を任すから」と頼むより仕方がないのでしょうか。
世界に目を転じてみれば、次々と戦争を起こし、「暴走機関車」のように突っ走る指導者たちが人々の生活を支配する時代です。この流れが日本にどう波及し、子どもたちの将来にどう影響するか、不安が募る一方です。
フードバンクや子ども食堂関係者の間で、こうした問題を時間をかけて話すことはありません。皆さん、次々と起きる新たな事態に戸惑うばかりで、とても話し出す気にならないのでしょう。
先日、欧州の知人から「(大国が力で支配する今の世界情勢に対し)欧州では絶望感と無力感が急速に広がっています」とのメールが届きました。
歴史が逆戻りしないことを願うばかりです。 (有道)
(注1)「いい日旅立ち」 1978年に山口百恵が歌って大ヒット。もともとは国鉄(今のJR)のキャンペーンソング。結婚式や卒業式の祝いの席で歌われることが多いが、作詞作曲した谷村新司が「歌詞を見れば決して祝いの歌ではない」と言うように、さまざまな解釈がある。
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