2026/05/31

応援はTV観戦で

  サッカーのワールドカップ( W杯)北中米大会がいよいよ始まります。サッカーファンは待ちきれないでしょう。

 先日、友人らと会った時も、やはりW杯(注1)の話題で盛り上がりました。日本代表がどこまで勝ち進めるのか。日本が入る1次リーグF組は「オランダ、チュニジア、スウェーデン」といずれも強豪ぞろいで「死の組」と言われています。

 米大陸でのW杯ということで、どうしても「トランプ大統領(注2)と米国の物価高」の話に。このコラムで1か月ほど前に取り上げた「ワシントン桜祭り」を読んだ人がいて、「屋台の焼きそばが3,000円! アメリカはインフレがすごいとは聞いていたけど、とんでもない高さだな」とあきれていました。

 彼は根っからのサッカーファン。6月11日(日本時間12日)から始まるW杯で日本代表の応援に行くつもりでしたが、チケット代ばかりか、ホテル代や食費、航空運賃など、なにもかも、めちゃ高で予算を大きくオーバー、泣く泣く現地行きを諦めたそうです。日本戦の舞台となるテキサス州ダラスのホテル代が、交通の便が良い市内中心部だと安くても1泊300ドル(約47,000円)と聞いて、「さすがに腰が引けた」と言います。円安と物価高の影響をもろに受けた格好です。

 W杯のチケット料金は座種や試合のステージによって異なりますが、各種報道によると、今大会では、一般席(スタンダード)が200ドル(約31,000円)~。決勝トーナメント日本代表戦は一番安くて約490ドル(約76,000円)。決勝戦は最高1万ドル(約160万円)。人気が出てプレミアム料金ともなれば、一席だけで3万ドル(約470万円)以上にも跳ね上がると言われます。

 本当に「どうなっているの」と言いたくなりますね。フランスのレキップ紙は「狂気のチケット価格に世界中のサポーターが激怒」との見出し記事を掲載。「サッカーが持つ『庶民のもの』という性質は、完全に吹き飛ばされてしまった」と厳しく批判しています。

 私の知人に、もう一人、「米国の物価高」に泣いた人がいます。彼はサッカーではなく、米大リーグのファン。NHKBSの大リーグ中継で連日、ドジャース大谷翔平選手に声援を送る全国の何百万人(中高年多し)のうちの1人です。「大谷という100年に1度出るか出ないかのスーパーアスリートを、生きている間に一度自分の目で見たい」とずっと前から言い続けてきました。ところが、この前、会った時は「観戦ツアー料金を聞いて驚いた。もう手が届かないよ。楽しみにしていたけど諦めた」と肩を落としていました。

 大リーグのチケット相場もかなりのものです。リーグ全体のチケット料金が平均約30〜250ドル(約4,700〜40,000円)。チームや座席によってかなり差がありますが、ロサンゼルスドジャースのような人気チームや週末の試合では価格がぐんと高く、平均180ドル(約28,000円)を超えるようです。日本のプロ野球のチケットも決して安くはありませんが、米大リーグは日本の2-3倍以上と見ていいでしょう。

 それでもドジャーズの試合などは、球場は4万人、5万人の超満員となります。外野席の安いチケット(それでも10,000円以上)を手に入れてベースボールを楽しむアメリカの一般市民の姿があります。

 一部報道によると、今度のサッカーW杯には、日本から数千人規模のサポーターが応援に行くと予想され、外務省は「犯罪などに巻き込まれないよう」注意を呼び掛けています。熱心なサポーターはいるものです。

 一方で、最近の物価高に苦しむ大方の日本人は、W杯や大リーグの現地観戦など考える余裕もないでしょう。ましてや、私たちソスペーゾ多摩が食料支援する家庭となると、毎日の生活に追われて、それどころではありません。

 でも、W杯も、大リーグも、TV観戦で十分応援できます。パブリックビューイングもあります。特にNetflixが放映権を独占した今年3月の野球のWBCと違って、W杯は日本代表の試合を地上波、BSで観戦できるので、私のようなものには、ありがたいです。

 直前に迫ったスポーツ界最大の祭典、サッカーW杯を一緒に楽しむことにしましょう。         (有道) 


(注1)96年に及ぶW杯の歴史上、戦争当事国がホスト(開催)国となるのは米国が初めて。

(注2)FIFA(国際サッカー協会)は昨年11月、「FIFA平和賞」の創設を突然発表、トランプ米大統領が受賞した。

2026/05/17

クルーズ船で感染症

  地球上の「地の果て」はどこか、と聞かれれば、迷うことなく「南米大陸最南端のフエゴ島」と答えます。

 南緯54度、西経69度に位置するこの島は、1年中雪に覆われた2,000m級の山々が迫り、荒涼とした風景が広がります。夏でも強風が吹き荒れ、島の北側を大陸と隔てるマゼラン海峡は航海者にとって難所中の難所、昔から数々の船が難破し、「船乗りの墓場」と言われて来ました。周辺の島々にはペンギンとアザラシが群れ、さらに1000キロ南下すると、南極大陸に到達します。

 5月に入って「ハンタウイルス感染」のニュースを聞き、30年ほど前、この地を訪ねた時の記憶を想い起こしました。感染の舞台となったクルーズ船「ホンディウス」が出港したのが、このフエゴ島(注1)の街 ウシュアイア(注2)でした。

 南米アルゼンチンでは昨年から「ハンタウイルス・アンデス型」(注3)の感染が拡大していると伝えられており、今回の集団感染の報に「またか」と一瞬、不安が頭をよぎりました。4年前の新型コロナウイルス世界的流行(パンデミック)の記憶がまだ新しいからです。

 通信社の報道などによると、このクルーズ船は4月1日に28か国、約150人の乗客・乗員を乗せて、ウシュアイア港を出発。南極圏や大西洋を航海中に乗客の感染が確認され、9人が感染、疑い2人、3人が死亡する事態(JST5月14日現在)となりました。

「クルーズ船で集団感染」と聞くと、日本のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を思い出した人も多いはず。新型コロナウイルス感染の発生後、横浜港で乗客を長い間、船内隔離し、大量の2次感染者を出したケーズです。

 この反省を生かしたのか、今回の「ホンディウス」の各国対応はかなり素早かったようです。スペイン政府が乗客の下船受け入れを決め、5月10日、最終目的地のスペイン領カナリア諸島テネリフェ島で日本人一人を含む乗客全員が下船、検疫の後、それぞれ急派された航空機で本国に移送され、経過観察・隔離されたと言います。

 感染源は、クルーズ船乗客がフエゴ島で接触した陸上動物ともいわれますが、詳しくは確認されていません。世界保健機関(WHO)は、ハンタウイルスは潜伏期間が長いので警戒が必要としながら、各国内で感染拡大するリスクは低いとして冷静な対応を呼び掛けています。

 WHOが言う通り、今回の「ハンタウイルス集団感染」に私たちは過剰反応する必要はありませんが、「感染症への警戒を常に怠らず」との自覚を再認識する良い機会になったと思います。

 厚労省によると、新型コロナ感染症は今でも日本で年間推計3万5000人以上が死亡(2024年)しています。規模は縮小傾向、マスクをしている人も少なくなりましたが、決して「終わった感染症」ではない、ということです。

 2019年12月に最初の感染が確認された新型コロナウイルス禍による死者は。世界で推定1,590万人(WHO)に上ったとされます。日本に住む私たちも親族や知人を失い、失職、休職など経済活動の停滞は弱者の生活を直撃しました。私たちフードバンクが食料支援する家庭で進学を断念した子どももいました。

 あのような辛い経験は2度と繰り返してほしくない、特に子どもたちには経験させたくない、と誰もが思うでしょう。

 今回のハンタウイルス感染でも、世界中でSNSなどを通じて偽情報、偽動画・画像が流れ、不安を煽っています。困ったものです。偽情報に踊らされず、冷静な対応が求められます。      (有道)

(注1)西側ほぼ半分がチリ領。東側がアルゼンチン領。

(注2)世界最南端の街。古くは、日本の網走と同じく政治犯、重罪犯の流刑地。大きな刑務所跡が今も残る。30年前は人口3万人。今は観光、移住者が増えて8万人。

(注3)ネズミなど、げっ歯類動物が持つウイルス。感染すると、「ハンタウイルス肺症候群」を発症、重症化で呼吸不全を起こし致死率は40~50%に上る。

📷 ウシュアイアの街

📷 クルーズ船「ホンディウス」

2026/05/10

1日遅れの「こどもの日」

  GWも終わり近く、ソスペーゾ多摩のボランティアメンバーの一人が、個人的なつながりで支援を続ける家庭にプレゼントを届けました。

 以下は彼から届いたメールです。

 5月6日、近くのスーパーで「こどもの日」向けのお菓子袋詰めセットを見つけました。前日の売れ残りでしたが、約半額だったので迷わずゲット。私が個人的に支援する大家族に大急ぎで届けました。

 事前に買い求めてあった小さな「鯉のぼり」も一緒です。届け終えた後、ドア越しに聞こえる子どもたちの歓喜の声、耳に残ります。

 この子どもたちは1日遅れでも、思いもかけない「こどもの日」のプレゼントが嬉しかったのでしょう。これを聞いて、私もホッコリした気持ちになりました。

 ありがとうございました。     (有道)


安く、近く、短く

  最長12連休もありと言われた今年のGW。夏日や、突風が吹き荒れるところもあり、北海道稚内では雪も降りましたが、全国的には、さわやかな初夏の陽気に恵まれました。

 私たちが食料支援する子どもたちは、大型連休をどう過ごしたのでしょうか。お母さんが仕事で忙しく、なかなか遠くまで連れて行ってもらえない子もいます。

 今年のGWのキーワードは「安・近・短」だったとか。遊びに出掛けても「低予算で安く」 「なるべく近場で」 「日帰りで短時間」の人たちが多かったということです。あるTV局が今年は「ゴールデンウイーク」ならぬ「節約ウイーク」と伝えていました。

 大型連休をどう過ごしたか、いずれ、きちんとした社会動向調査の結果が出るはずですが、取りあえず、私の周辺の知り合いの人たちから話を聴いてみました。人数も限られた狭い世界での「調査」ですが、少しは参考になります。

 遠出したのは1家族だけ。東北の実家へ子ども連れで帰省、マイカーで2泊3日。 「夏は猛暑なので無理。旅行は今がチャンス。思い切って出掛けた」と言います。

 他は「隣県の屋外イベント(大凧まつり)を見に行った」 「北関東の景勝地を観光」 「近県に帰省し空き家となっている実家を掃除」 「都内デパート物産展で買い物(夫婦2人)」 「外食レストランは高いので、弁当持参で近場の公園へ」 「駅前の子ども祭り・フリーマーケットへ」 「自宅近くをひたすら散策」 「自宅にこもり溜まった家事を片づけた」 「いつもと変わらず仕事(私たちが寄贈を受ける青果問屋さん)」 という人もいました。

 東北旅行の家族を除き、共通しているのは「ほとんど日帰りレジャー」という点。若い世代の家族は「5月5日はこどもの日。泊りがけでどこかに連れて行きたかったのですが」と言います。ホテル代も、交通費も、食事代も、こうも高くなれば、宿泊旅行は考えてしまいますよね。今年のGWは、出掛ける先を探すのに悩んだ人が多かったはずです。

 「連休中の全体的な行動傾向」として「自宅でゆっくり過ごすという人が60%超」との調査結果(株式会社mitoriz)もあります。今は自宅にいても、ネット配信の映画やユーチューブなど娯楽も増え、「金もかけずに十分楽しめる」ということでしょうか。いわゆる「巣ごもり派」が半数以上も占めるのは、厳しい経済状況だけではなく、日本社会全体が「外向き」ではなく「内向き」になっているからかもしれません。

 大型連休終盤になると、TVニュースは決まって「高速道路渋滞」 「東京駅、羽田空港の混雑」の様子を取り上げます。他に取材するものはないのか、と言いたくなりますが、今回も東京駅新幹線ホームで、小学生の男の子が「美味しいものたくさん食べた。ジジとババからお小遣いもらった」と答えていました。これからは、TV局もこういう「狙い通りのコメント」をする子供を探し出すのに苦労するでしょう。故郷への帰省や家族そろって泊りがけ旅行も庶民には「高嶺の花」となる時代ですから。

 新型コロナウイルス禍以降、人々の休日の過ごし方がすっかり変わりました。今年の大型連休の人の動きを見ていると、その傾向がさらに強まりつつあるように感じます。    (有道)

📷 自宅近く駅前での子供祭り。多くの屋台が並び家族連れで賑わった。