「もう秋かな・・・」。先日、自宅近くの川辺を歩いていて、トンボの群れを見ました。夜は、どこからか虫の音が聞こえています。
厳しい残暑がまだ続くと覚悟していただけに、少しでも秋の気配を感じるとホッとします。地球の地軸(自転軸)は23・5度傾いています。これは永遠に変わらないので、中緯度帯に暮らす私たちには四季があるはずですが、近年は温暖化による異常気象のせいで「狂い」が生じています。
「今年の夏は昨年より涼しかった」と言う人がいるので、気象庁のデータを調べてみました。それによると、涼しく感じたのは8月中旬、関東を中心に暑さが少し和らいだ時があったからで、全国的には強烈な暑さが続きました。初めて5日連続の「酷暑日」(気温40℃以上)を記録したところも。気象庁の専門家は、この暑さについて「いくつかの大気の流れと地球温暖化が要因」と分析しています。
5月から沖縄、九州北部、北陸、新潟、千葉、東北、北海道東部で「線状降水帯」が相次いで発生、局地的豪雨による大きな被害が出ました。毎日、日本のどこかで大雨による浸水被害が出ている感じです。
世界でも、大雨や大規模水害、記録的高温、干ばつ少雨、山火事が相次ぎ、特にアジア地域や南米で深刻な被害が報告されています。まるで、人間がいじめ続けて来た地球という天体が、牙をむいて人間に逆襲しているかのようです。
8月26日には、ネパールとチベット自治区の境界付近で大規模な土石流が発生。報道によると、死者690人以上(ネパール当局)、中国側死者7人(中国政府発表)、行方不明約3、000人(日本人ツアー客5人含む)=いずれも8月29日現在=という大惨事になりました。
最初は「洪水」との報道もありましたが、これは間違いなく「鉄砲水」です。巨大な土石流が猛スピードで谷を駆け下りて道路、橋や建物を次々と飲み込み、周辺の村をあっという間に破壊。人々が逃げ惑う映像はSNSなどで瞬く間に拡散され、世界に衝撃を与えました。
ネパール側現場はランタン国立公園に近いため、被災者には外国人観光客や巡礼者も含まれ、捜索が進むにつれ、犠牲者がさらに増える恐れがあります。
原因は専門家の調査を待つ必要がありますが、衛星画像による分析で、氷河に覆われた山岳斜面が大規模崩壊を起こし、大量の氷や岩が谷を流れ下ったのではないか、とみられています。土石流の平均速度は秒速50メートル。新幹線並みの速度といいますから、巨大な自然のエネルギーの恐ろしさを感じます。
今回の事故で、すぐに想い出したのが1963年10月9日、イタリアンアルプスで起きた鉄砲水事故。上流の発電所ダム周辺の斜面が崩れ落ちて湖に流れ込み、溢れた水が土石流となって谷を下り、麓のロンガローネ村をあっという間に吹き飛ばし、2000人を超える人々が犠牲となりました。
この事故のことは、あるイタリア人の青年から私が直接聞いたので、詳しく憶えているのです。事故当時、小学生だった彼は、当日たまたま別の村へ遊びに行って難を逃れましたが、自宅にいた両親、祖父母、兄弟姉妹をすべて失い「孤独の身になった」と話してくれました。土石流事故は本当に恐ろしいものです。
ロンガローネ事故はダム工事のミスと指摘されていますが、今回のネパール事故は、氷河の崩壊が引き金となった可能性が指摘されています。「地球温暖化」による「災害」が、ついにこのような形で起きたということです。
大きく報道されていませんが、氷河がある南米ペルー、チリ、欧州アルプスでも近年、小さな氷河の崩落事故、土砂崩れ事故がかなり起きているようです。気温の上昇で氷河は世界中で溶け始めており、今回のネパールのような事故は「起こるべくして起きた」と言えます。
「地球温暖化」の問題はすぐに解決できるものではなく、次の世代に「負の遺産」として引き継がれます。私たちフードバンク団体は、将来を背負う子どもたちを食料支援という形で見守っています。この子どもたちに「地球温暖化」がもたらす自然災害の怖さを、きちんと教えていくことが必要だと、改めて思いました。
ソスペーゾ多摩が支援する日本語学校では、ネパールの学生多数が学んでいます。今回の大惨事にお見舞い申し上げます。 (有道)
📸 土石流に襲われ、泥とがれきに覆われた家々
📸 事故現場に近いランタン国立公園付近の山々
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