自民党総裁選に出馬した候補の一人が「子ども食堂」を訪れ、そこでの視察をめぐってSNS上などで非難が集中、近隣の食堂関係者の間でちょっとした話題になりました。
一部報道やネット情報などによると、この候補が訪れたのは東京都内のA子ども食堂。自身が公約に掲げる生活支援対策をアピールするための視察で、施設運営者と意見交換した上で、子どもたちと遊ぶ、カレーライスを食べるなど交流を図り、その後のサプライズで、同候補の誕生日会を開いてもらった、というものです。
同候補は視察後、X(旧ツイッター)で「幼児教育の無償化など様々な政策を実現してきましたが、まだまだ足りていないことも多いことを痛感」と視察の成果を強調、今後、子ども政策に取り組む意欲を示しています。
ところが、子どもたちがバースデーソングを歌う中、同候補が誕生ケーキのローソクを吹き消す動画がSNS上で拡散すると、ネット上には非難の声が集中しました。
「子ども食堂に行くならどっさり食べ物持っていくのが筋じゃないのか」
「普段ケーキなんか食べられない子どもたちに、こんな事をさせて恥ずかしくないのか」
「なぜ子ども食堂があるのか。それは政治がおかしいからではないか」
などの投稿が相次ぎました。
一部に「現場を視察するのは政治家の大事な仕事」と擁護する書き込みもありましたが、大半は批判的な内容です。
SNSへの投稿は感情的にエスカレートしたり、無責任な内容も多いので、割り引いて考える必要があります。それでも、この問題がここまで炎上したのは「貧困問題を解決できない政治」に対する社会の怒りの表れでしょう。「子ども食堂やフードバンクが必要ない社会にしてほしい」と誰もが思っています。
他の候補と同じように地方の農家や工場を視察し、そこでケーキをご馳走になっても、こんなことは起きなかったはず。なぜ、同候補の「子ども食堂」訪問だけが、非難されるのでしょうか。
恐らく、同候補の個人的なイメージに因るところが大きいと思われます。かねてから「エリート意識が高く、自分が一番優秀だと思い込み、役人をよく叱りつける人」(政界関係者)と言われています。
常に「強者」の論理を振りかざし、「子ども対策」とは無縁のようなイメージの人が、突然、子ども食堂で愛嬌をふりまいても、相手は「ドン引き」ですよね。
投稿の中には「政治家の訪問が子ども食堂のボランティア現場に与える負担」を指摘する声もありました。
今回のA子ども食堂はどうだったのでしょうか。同候補の推薦人に名を連ねる地元選出代議士がこの食堂を紹介したのか、または、周辺の誰かが同候補の支持者だったのか、事情はよく分かりません。
子ども食堂やフードバンクは多くの人々の善意に支えられています。「子ども支援」という社会問題に常に向き合っているため、政治動向にも左右されます。行政との連携は不可欠ですが、国会、地方議員ら政治家の理解、協力、支援も求めるでしょう。
ただ、特定の政党、政治家との距離が近すぎると、自分たちの独立性を失う恐れがあります。ボランティア団体としての「自主性」は大切にしたいです。
ソスペーゾ多摩は地域の小規模フードバンク組織でもあり、今回のような騒動に巻き込まれたことはまだありませんが、今後も不偏不党を維持しながら、地道な活動を続けていくつもりです。
今回、子ども食堂に突然現れた「どこの誰だか知らないおじさん」の誕生日を祝い、バースデーソングを歌った(歌わせられた?)子どもたちは何を思ったのでしょうか。大人が子どもを政治利用するのは、考えものですね。 (有道)
B.jpg)