2025/07/27

レタスと外国人

 高原野菜の産地として知られる長野県川上村。 レタス農家のご主人がTVインタビューで、参院選挙を前に「争点」となった「外国人問題」について答えていました。  

 「うちは従業員10人のうち9人が外国人。こちらの農家は外国人がいないと100%成り立ちませんね」 

 レタスの収穫は、夜明け前の午前3時ごろからヘッドランプを点けてのハードな仕事だ、と聞いたことがあります。私たちフードバンクが配る野菜などの食品が、いかに多くの外国人の手を借りて生産されているのか、と実感します。 

 それにしても、今回の参院選で「外国人問題」がなぜ争点として急浮上したのでしょうか。本当に「日本の今後を左右する重要課題」だったのでしょうか。今でも疑問が残ります。 

 選挙前、SNSには外国人批判の投稿が急増しました。「日本人の税金が多く使われ、外国人は優遇されている」「高級タワマンを買い漁っている」「大声で騒ぐなどマナーが悪い」「治安が悪くなる」等々。 

 確かに、昨年の在留外国人数(2024年末、376万8977人=出入国在留管理庁)、インバウンドの訪日外国人数(2024年、36869900人=政府観光局)が過去最多を記録したこともあり、こうした傾向が目につくのかもしれません。 

 SNSの事例は具体的な数字や根拠が少ないのでファクトチェックできませんが、最近になって外国人犯罪、マナーの悪い外国人が急増したのでしょうか。日本人犯罪も毎日発生し、マナーの悪い日本人はどこにでもいます。 

 近年、欧米でも極右勢力を中心に外国人排斥の動きが強まっています。ただ難民が殺到するヨーロッパ、不法移民が国境を越えて流入するアメリカと比べ、日本は問題の質が少し違うようにも思えます。それでも今回の参院選挙では、「自国第1主義」を掲げ、外国人批判を強める保守勢力が支持を伸ばしました。 

 洋の東西を問わず、いつの時代でも、社会不安、不満が高まると、陰謀論などが飛び出し、外国人が攻撃対象となるのは、よくあることです。権力者にとっては大衆の怒りの矛先をかわし、逆に支持を伸ばすための常套手段です。 

 いま、若い世代を中心に不安、不満が広がる日本。「外国人非難が増えている」のを知った一部の保守勢力が、支持を拡大するための戦術として外国人問題を巧みに利用した、というのは、考え過ぎでしょうか。 

 参院選挙は終わりました。争点となった外国人問題ですから、これからは具体的な政策論議に期待しましょう。でも、それが一方的な「外国人排斥」だけの論議になるならば、川上村などで真面目に働く外国人は救われませんね。 

 ソスペーゾ多摩は「不偏不党」、政治に関知しない小さなフードバンク団体ですが、外国人問題だけは注意深く見守っています。その理由はいずれまた。  (有道)

2025/07/20

温かいご厚意に感謝

 多摩市内の団体から多額の寄付金をいただきました。

厚くお礼申し上げます。

 多摩地域のプロゴルファーの方々が加入する「多摩プロゴルフ会」。このほど多摩市で開催したチャリティゴルフコンペで集まった募金だそうです。「少しでも子どもたちの支援になれば嬉しい」と、ソスペーゾ多摩を含む多摩の3団体に寄付してくださいました。

 多摩市社会福祉協議会、多摩ボランティア市民活動支援センターの紹介で、ソスペーゾ多摩の活動を知ったとのことです。

 7月10日の贈呈式には、ソスペーゾ多摩を代表してメンバーが出席、プロゴルフ会会長の西川健一さんから寄付金を受け取りました。子どもたちの支援に必ず役立てます。

ありがとうございました。 (有道)


2025/07/13

トウモロコシご飯

 前に書かせていただいた「トウモロコシの話」の続報です。

 私たちが食料を届けている子ども食堂を見学してきました。

 東京都稲城市の「もみの木保育園」。週2回、子どもを中心に地域の皆さんに食事を提供、加えて野菜、果物などを配るパントリーも週1回開催しています。

 訪れたのは水曜日のお昼前。明るく、こざっぱりとした園内の一室で母子10人ほどが昼食を始めるところでした。この日のメニューには、私たちが届けたトウモロコシを使っての「トウモロコシご飯」がありました。

 試食させていただきましたが、トウモロコシの甘さと、ほんのりと塩味のきいたご飯が微妙な味わいで、とても美味でした。塩、お酒少々、それにトウモロコシの芯も短く切って入れて炊き上げると、出汁が効いて美味しいとか。

 メニューはほかに「油淋鶏、キャベツのゆかり和え、大根の煮物、トマトの中華サラダ、人参といんげんの味噌汁、オレンジ」と豪華。私たちが提供した食材をたっぷりと使っていただき嬉しかったです。

 大人は300円、高校生以下は無料なので、皆助かることでしょう。

 調理は同保育園公益事業部長の田中逸美さんをリーダーに職員1人、ボランティア2人が担当。この日用意したのは26食分。午後遅くには民生委員の紹介を受けたお年寄りもやって来るそうです。

 金曜日は子どもが多く、37食を用意するとのことです。

 目についたのは幼い子どもを連れた若いお母さん。「子育てに追われ、ゆっくり食事の用意ができないというお母さん方が来ますね。子育て中のお母さんは意外と孤独なんですよ。若いお母さん方がつながる場になればいいと思います」と田中さん。

 ソスペーゾ多摩の活動方針は「食事を満足にできない子どもたちへの支援」

でも場所によっては、恵まれない子どもの食堂だけでなく、若いお母さん方の交流場所としての食堂があってもいいのかもしれません。それが子どもたちの幸せにつながれば。

 フードバンクとしても、さまざまな地域貢献の形があるのかな、との思いを新たにしました。 (有道)


2025/07/06

ありがとう

  ソスペーゾ多摩は、フードドライブなどで食料などを寄贈してくださる方に、御礼のチラシをお配りしています。


2025/06/29

暑中お見舞い申し上げます。

 連日、酷暑が続いています。

 2、3年ほど前までは「うだるような暑さ」とよく言われましたが、最近はTVニュースでも「猛烈な暑さ」「体温を超える危険な暑さ」、時には「命にかかわる暑さ」とまで言うほどです。

 私たちが子どものころは、海や山で真っ黒になって遊ぶ夏休みを心待ちにしていましたが、この暑さでは子どもたちも思う存分、外で遊べないでしょう。

  猛暑が集中豪雨とセットで襲ってくるので、各地の花火大会も中止が相次ぎます。以前は「暑い暑い」と言いながらも、浴衣姿でかき氷を食べながら、夏を楽しく過ごしたものでしたが、最近は「日本の夏」も楽しさが失われつつあるような気がします。


 先日、飲み友達の集まりで「夏の甲子園」が話題となりました。

 「この猛暑で高校野球は大丈夫か。休養日を設け、開始時間など工夫もしているが、もう限界だよなあ」

 そこで出てきたアイデアです。

①甲子園を屋根付き、エアコン付きの球場に改修する。

②会場を稚内市営球場などへ移す。旭川のスタルヒン球場でも良い。

③開催時期を11月ごろに変更し「冬の甲子園」とする。

④いっそのこと、夏は廃止し春だけにする。夏の甲子園は歴史的遺産として記憶に残す。

 

 さて、私たちのフードバンク、猛暑の中、なんとか活動を続けています。

子どもたちに届ける食品は、特に野菜、果物などは暑さで傷みやすいので集荷とほぼ同時に配達。屋外の作業が多いので、熱中症対策にも十分気をつけます。エアファン付きジャケットを着てくるメンバーもいます。

 作業は素早く、短時間で。無理は禁物。ボランティア活動で倒れたら元も子もありません。

 子どもたちには申し訳ありませんが配達を休むこともあります。ご了承ください。(有道)

 

[お詫びと訂正] 前回「トウモロコシの話」で取り上げた長野県信濃町の「とうもろこし街道」ですが、正しくは「もろこし街道」の誤りでした。お詫びして訂正します。信濃町によると、今季は7月末ごろから直売所が立ち並ぶそうです。

2025/06/25

トウモロコシの季節

  いつもお世話になっている青果問屋さんから「これ、子どもたち食べるかな」と、トウモロコシの寄贈を受けました。埼玉県産だそうです。ありがとうございました。

 本数に限りがあったので、すべての子どもたちには配ることができませんでしたが、受け取った子たちはラッキーでした。

 今ではスイートコーンと呼ぶようですが、トウモロコシは代表的な夏野菜の一つ。この時期になると、札幌の大通公園ではトウモロコシ屋台(スタンド)から焼きトウモロコシの香ばしい匂いが漂い、初夏の風物詩となっています。

 米、小麦と並ぶ世界3大穀物の一つであるトウモロコシは、新大陸の原産。コロンブスが欧州に持ち帰り、そこからポルトガル人の手を経て喜望峰を回りアジア方面に伝わったとされます。極東の遠隔地日本にまで伝来したのは16世紀ともいわれます。

 統計によると、このトウモロコシ、食用とともに家畜の飼料としても多く利用されており、人類はこの穀物にどれだけ救われていることか、本当にありがたい存在ですね。

 私自身も子どもの頃は、ざるに山盛りの茹でたトウモロコシをお腹いっぱい食べたものです。価格も安かったのか、我が家ではトウモロコシが半ば主食だったのでしょう。

 お米が高騰の今、「フードバンクでもお米の代わりにトウモロコシを配ろうか」と話したりしますが、いずれ冗談として笑っていられない時代が来るかもしれませんね。

 皆さん、ご存じとは思いますが、長野県信濃町の「とうもろし街道」には新鮮なトウモロコシの直売所が並びます。(有道)

2025/06/22

ご飯をお代わり

  お米の価格高騰がいつ落ち着くのか、依然として先行きが見えませんが、ソスペーゾ多摩は先日、お米を子どもたちに届けました。

 昨年暮れに企業や個人の方々から寄贈されて、倉庫に保管していたもので、政府の備蓄米とは違います。今回は5kg入りのほかに10kg入りの袋も配りました。

 お米を受け取ったシングルマザーからのメッセージです。

 「この時期に10キロものお米をいただくなんて信じられないです。小学生の息子がご飯をお代わりするんですよ」

 この男の子は、お米が高いのを知って、それまではご飯のお代わりを遠慮していたのでしょうか。子どもは大人が考える以上に、自分の家のことを分かっているんですね。まだまだ子どもだと思っている小学1年、2年生でも家庭の事情を実によく観察しています。これには驚かされることが多いです。

 お米をもらってお母さんが喜ぶのは理解できますが、子どもが喜ぶなんて、なんとも複雑な気持になります。子どもは家計や食べ物の心配などせずに遊びに夢中のはずなんですが、今の世の中、どうなっているのでしょうか。

 以前、「お米を買ったことがない」と失言して辞めさせられた大臣がいました。この方に、男の子の話を聞かせてみたいところですが、まあ話しても無駄でしょう。(有道)