サッカーのW杯北中米大会の黄金のトロフィーは、決勝でアルゼンチンを延長1-0で下したスペインの手に渡りました。
10代の天才プレーヤーを抱えるスペインの堅守に、アルゼンチンはシュートゼロの完敗。神の子メッシのゴールも不発。試合終了のホイッスルが鳴った後、ピッチに座り込み、呆然と天を仰ぐメッシの姿が印象的でした。マラドーナの時代からアルゼンチンサッカーを応援してきた私もガックリでしたね。
帰国した各国代表の出迎えは悲喜こもごも。出迎え風景はそれぞれ国民性がうかがえて、なかなか面白かった。スペイン代表は当然ながら国民が大歓声で出迎え、国王フェリペ6世、サンチェス首相に優勝を報告した後、首都マドリードでの凱旋パレードには200万人が繰り出したそうです。史上初めてベスト8入りを果たしたノルウエーも、王宮前広場で10万人を超えるサポーターが、おなじみの「バイキングロー」で祝福しました。
悲惨だったのはグループステージ敗退に終わった韓国。仁川国際空港に代表チームが降り立つと、ホン・ミョンホ監督らに対する怒号と罵声が飛び交い、歓迎セレモニーも中止になったと伝えられます。
日本代表は羽田と成田に分かれて帰国、決勝T1回戦で敗退しながらも、温かく迎えられました。「元気をもらいました」という女性ファンの言葉は、日本ならではの感謝の表現なのでしょう。
一番惨めだったのはブラジル代表。決勝T1回戦で日本に勝利したものの、続くイングランド戦は1-2で敗れ、1990年大会以来初めてラウンド16で姿を消しました。ブラジル代表は米国で現地解散、帰国チャーター便に搭乗した選手は一人だけで、他の選手や役員はいずこかへ姿を消したそうです。
国民のほぼ全員が熱狂的なサッカーファンのブラジルでは、W杯で負けると「生きて帰れると思うな」と言われます。過去の大会でも良い成績を残せなかった時は、アマゾンなどのローカル空港にこっそりと帰国するのが常識となっています。
W杯で勝つか負けるかは天地の差。ブラジルも優勝した時は国中がひっくり返るほどのお祭り騒ぎとなります。1994年アメリカ大会で優勝した時は、リオデジャネイロの凱旋パレードに私も駆けつけました。花火が打ち上がり、鳴り響くサンバの太鼓。街中が歓声で地響きのように揺れたのを憶えています。ちなみにこの大会では、ブラジルではありませんが、オウンゴールをした南米コロンビアの選手が帰国後に射殺される事件も起きています。
良くも悪くも、世界の人々をこれだけ熱狂させるのがサッカー。私たちソスペーゾ多摩が支援する多摩市内の外国人日本語学校には、多くのブラジル人留学生が学んでいます。今回のW杯で彼らの熱狂的な応援はこちらも熱くなります。「さすがサッカー王国ブラジルだ」と思います。
決勝戦のチケット価格が平均250万円(最高400万円、最低120万円)と高騰、「カネまみれの大会」と批判を受けながら、今回の北中米大会は、チケット代金、放映権料など大会本体だけでも総額150億ドル(2兆4000億円)という巨額の収入を上げたと伝えられます。
決勝戦では初めて、ハーフタイムに既定時間を超えてショータイムが設けられ「マドンナ」「BTS」「ジャスティン・ビバー」らスターが登場、まるでスポーツショーでした。表彰式でトランプ米大統領と、その後を付いて歩くインファンティーノFIFA会長の姿は見るに堪えませんでしたね。
世界で最も愛され、最も競技人口が多いサッカーは誰のものか。世界の街角で、路地裏で、広場で、粗末なボールを夢中になって蹴る子どもたちの姿があります。
庶民のスポーツであるサッカーが、格差社会に象徴される米国流のスポーツビジネスに飲み込まれるのは、残念としか言いようがありません。 (有道)
📸 優勝トロフィーを授与され喜ぶスペイン代表。スペインサッカー協会など各公式写真は、表彰式で「あの人」の姿をカットしたものが多いようです。
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