2025/08/29

もうすぐ2学期

  子どもたちの夏休みも残すところ、あと僅か、間もなく2学期が始まります。連日の猛暑続き、皆さん、どのような夏を過ごしましたか。

 私たちが食料を配る子どもたちは、毎日、きちんと食事が出来たのでしょうか。給食がない夏休み期間中、自宅で1日3回、きちんと食事ができたのか心配していました。

 都内に拠点を置くNPO団体が発表した調査結果があります。

 一部報道されたので目にされた方もいると思いますが、首都圏、関西、九州の3地域で食料配布を受けるひとり親家庭(有効回答者数2,105人)を対象に、「夏休み中の家計状況」をアンケート調査(20256月実施)したものです。

 それによると、「子どもの1日の標準的な食事回数」について、「夏休み期間中」は①3回=61.4% ②2回=31.2% ③1回=1.0%となり、「学校給食がある期間」に比べ2回が19.2ポイント、1回は0.1ポイントそれぞれ上昇、逆に3回は19.9ポイント減少しています。その理由として「経済的余裕がなく十分な食事の用意が難しい」=40.4% 「子どもの生活リズムが崩れるため」=28.2% 「食事を用意する時間的余裕がない」=25.0%  (いずれも特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパン調べ)

  これ以外にも「米高騰が夏休み中の食事に与えた影響」との問いに対し「米以外の主食(パン、麺類など)で代用する」=67.1% といった調査結果も報告されています。

 夏休み中は、欠食児童が増えることはかなり前から指摘されていますが、昨今は特に、米をはじめとする物価高騰で、その数がさらに増えていると伝えられます。

 私たちが活動する東京都多摩市、稲城市を中心とする地域でも、「食事を満足にできない子ども」が相当数存在すると思われます。それは分かっていても、実際にそういう子どもたちが、どこに、どれだけいるのか把握するのは容易ではありません。

 各家庭の食事というのは、どちらかというとプライベートに属する部分であり、なかなか窺い知ることができないのです。余程のことでもなければ、「あんたの家は朝昼晩、何を食べてるのさ」と聴くこともないし、話すこともないでしょう。家計が厳しく「おかずは一品だけ」で細々と食事をする家もあれば、豪壮な家に住み高級車を乗り回す家庭でも、3度の食事はすべてレトルト食品という人もいます。まさに家庭の食事は「千差万別」なんですね。

 中でも「家で満足に食事ができない子ども」を外から知るにはかなりの努力を必要とします。「お母さんがご飯つくってくれなかった」「冷蔵庫に何も入っていなかった」などと食事を抜いている子は、友達にも、学校の先生に黙っています。恥ずかしくて口にできないでしょう。一人で我慢するだけです。

 子ども食堂に来て「むさぼるように食べている子」を見て、ボランティアの女性が「この子はきっとお昼を食べていないのね」と気づくこともあります。

 十分な食事が出来ない子どもについては、行政機関も「子育て相談の窓口」などで、ある程度、把握しているはずですが、フードバンクのような民間の団体には「個人情報」を理由にほとんど情報を提供しません。

 私たちは、寄贈された食品を子どもたちに届けたくても、本当に必要とする家庭を探し出し、つながりを、どう確保するか、いつも頭を悩ませています。

 私たちソスペーゾ多摩は配布先の情報を集めるのに、食品を直接配布する中間支援団体を頼りにしています。それぞれ地域で福祉関連施設、食堂などを営んでいる方なので、かなり詳しい地域情報が集まります。要するに個人的つながりによる密着情報です。

 「シングルマザーのAさんは最近体を壊して生活が苦しい」「Bさんは物価高騰で満足に買い物に行けない」など。

 ある施設は、こうした詳しい情報を基に配布数量、内容まで決めています。私たちの活動は、地域の方々のサポートに支えられているのですね。

 ソスペーゾ多摩は食品配布のパントリー事業だけでなく、子ども食堂にも食料を届けます。この子ども食堂も「本当に困っている子どもたちだけに対象を限定すべきか」「困窮度の選別などできるのか」「高齢者の食事希望者はどうするのか」などの問題にぶつかります。

 食の支援には単純に割り切れない多様な問題があります。多くの団体も苦労していることでしょう。ソスペーゾ多摩も模索を続けながらメンバーの力を合わせ、できる限りの貢献をしたいと思います。 (有道)



2025/08/10

消えた蝉しぐれ

 盛夏だというのに、今年は蝉の鳴き声があまり聞こえて来ません。鳴いてはいますが、例年のように辺り一面に降り注ぐような「蝉しぐれ」には程遠く、どこか元気がないように感じます。

 昆虫学者によると、梅雨が短く終わり、猛暑で地中温度が上昇、羽化のタイミングを逃した幼虫が多かったのではないか、ということのようです。やはり異常気象のせいですか。確実に自然の営みが壊れていますね。

 この「蝉しぐれ」、どうしても8月15日の「終戦の日」とイメージが重なります。蝉が鳴かない「終戦の日」は想像できないのです。私一人の感覚かもしれません。「国民が終戦を知ったあの日も、暑く、しきりに蝉の鳴く声が聞こえるだけだった」などと、語られることが多いからでしょうか。

 お盆の季節に「広島、長崎の原爆、終戦の日」と続くので、日本人にとって「鎮魂の8月」と言われます。ふだんは自堕落な生活を送っている私も、さすがに、この時期は「戦争と平和」を考えます。

 今年は戦後80年。廃墟から立ち上がり、高度成長で平和と繁栄を達成したかに見えた時期もありましたが、日本は今また、混乱と不安、不信の時代にあります。

 日本の戦後について論じるのは、このコラムの趣旨ではありませんが、ひとつだけ言わせていただくと、「いまだに食事をまともにできない子どもたちが存在し、私たちのようなフードバンクが食料を配って歩く世の中になるとは、想像だにしなかった」ということです。終戦直後の食糧難の時代ではないのです。

 豊かな飽食の時代を謳歌する人がいる一方で、子どもが食事に事欠く家庭があります。この「貧富の差拡大」と同時に深刻なのが「地域社会の崩壊」。昔は困った家庭があると、祖父母や親類、近所のおじさん、おばさん、皆が、なんだかんだ言って子どもの面倒を見たものです。

 「都市化、核家族化、経済構造が変化した必然の結果」と言ってしまえばそれまでですが、私たちが支援するシングルマザーの家庭で、両親や親類からのサポートがとても少ないことに気がつきます。結局、行政かフードバンクしか頼るところがない、ということになるんですね。

 この80年、日本人の生活レベルは飛躍的に進歩しましたが、本当に幸せになったのか、議論は分かれるでしょう。フードバンクから食料をもらう子どもたちには将来、幸せをつかんでほしいと願うばかりです。

 余談ですが、かつて海外で「蝉の鳴き声」を意識したことはありませんでした。蝉は東南アジア、アメリカ大陸など世界各地に分布しているはずですが、なぜか聞いた記憶がないのです。街中ではなく、森の中で鳴いていたのでしょうか。外国人には「雑音」にしか聞こえないといいます。俳句の季語にもなる「蝉の声」に情緒を感じるのは日本人だけかもしれませんん。  (有道) 



2025/08/03

クロワッサンはいかが

 生活協同組合 パルシステム東京から先日、大量のクロワッサンが届きました。

厚く御礼申し上げます。

 パルシステム東京には、定期的に野菜・果物も提供してもらうなど、大変お世話になっています。同協同組合は、新型コロナが発生した2020年に「暮らしに困っている方をお米で支える募金」の制度を設け、それ以降、都内のフードバンク団体、子ども食堂などへお米を配っているとのことです。

 私たちソスペーゾ多摩も毎年、たくさんのお米を寄贈いただいています。ところが今年は、お米の配布ではなく、代わりにパンの支給となりました。

 同協同組合多摩センターの増田さんは「大変残念ですが、昨年秋からのお米価格高騰の影響を受けて、数量確保が厳しい状況が続いています。どうかご了承ください」と、苦しい事情を話しています。

 お米価格高騰の影響はこういうところにも及んでいるんですね。お互い、我慢するより仕方ありません。同協同組合がお米の代わりに、わざわざパンを調達し、子どもたちに届けてくれたことに感謝します。

 いただいたのはロングライフのクロワッサン。ちょっと甘味があって、とても美味しい。おやつとしても食べられます。パンの支給は珍しいので、子どもたちは大喜びでした。 

(有道)


2025/07/27

レタスと外国人

 高原野菜の産地として知られる長野県川上村。 レタス農家のご主人がTVインタビューで、参院選挙を前に「争点」となった「外国人問題」について答えていました。  

 「うちは従業員10人のうち9人が外国人。こちらの農家は外国人がいないと100%成り立ちませんね」 

 レタスの収穫は、夜明け前の午前3時ごろからヘッドランプを点けてのハードな仕事だ、と聞いたことがあります。私たちフードバンクが配る野菜などの食品が、いかに多くの外国人の手を借りて生産されているのか、と実感します。 

 それにしても、今回の参院選で「外国人問題」がなぜ争点として急浮上したのでしょうか。本当に「日本の今後を左右する重要課題」だったのでしょうか。今でも疑問が残ります。 

 選挙前、SNSには外国人批判の投稿が急増しました。「日本人の税金が多く使われ、外国人は優遇されている」「高級タワマンを買い漁っている」「大声で騒ぐなどマナーが悪い」「治安が悪くなる」等々。 

 確かに、昨年の在留外国人数(2024年末、376万8977人=出入国在留管理庁)、インバウンドの訪日外国人数(2024年、36869900人=政府観光局)が過去最多を記録したこともあり、こうした傾向が目につくのかもしれません。 

 SNSの事例は具体的な数字や根拠が少ないのでファクトチェックできませんが、最近になって外国人犯罪、マナーの悪い外国人が急増したのでしょうか。日本人犯罪も毎日発生し、マナーの悪い日本人はどこにでもいます。 

 近年、欧米でも極右勢力を中心に外国人排斥の動きが強まっています。ただ難民が殺到するヨーロッパ、不法移民が国境を越えて流入するアメリカと比べ、日本は問題の質が少し違うようにも思えます。それでも今回の参院選挙では、「自国第1主義」を掲げ、外国人批判を強める保守勢力が支持を伸ばしました。 

 洋の東西を問わず、いつの時代でも、社会不安、不満が高まると、陰謀論などが飛び出し、外国人が攻撃対象となるのは、よくあることです。権力者にとっては大衆の怒りの矛先をかわし、逆に支持を伸ばすための常套手段です。 

 いま、若い世代を中心に不安、不満が広がる日本。「外国人非難が増えている」のを知った一部の保守勢力が、支持を拡大するための戦術として外国人問題を巧みに利用した、というのは、考え過ぎでしょうか。 

 参院選挙は終わりました。争点となった外国人問題ですから、これからは具体的な政策論議に期待しましょう。でも、それが一方的な「外国人排斥」だけの論議になるならば、川上村などで真面目に働く外国人は救われませんね。 

 ソスペーゾ多摩は「不偏不党」、政治に関知しない小さなフードバンク団体ですが、外国人問題だけは注意深く見守っています。その理由はいずれまた。  (有道)

2025/07/20

温かいご厚意に感謝

 多摩市内の団体から多額の寄付金をいただきました。

厚くお礼申し上げます。

 多摩地域のプロゴルファーの方々が加入する「多摩プロゴルフ会」。このほど多摩市で開催したチャリティゴルフコンペで集まった募金だそうです。「少しでも子どもたちの支援になれば嬉しい」と、ソスペーゾ多摩を含む多摩の3団体に寄付してくださいました。

 多摩市社会福祉協議会、多摩ボランティア市民活動支援センターの紹介で、ソスペーゾ多摩の活動を知ったとのことです。

 7月10日の贈呈式には、ソスペーゾ多摩を代表してメンバーが出席、プロゴルフ会会長の西川健一さんから寄付金を受け取りました。子どもたちの支援に必ず役立てます。

ありがとうございました。 (有道)


2025/07/13

トウモロコシご飯

 前に書かせていただいた「トウモロコシの話」の続報です。

 私たちが食料を届けている子ども食堂を見学してきました。

 東京都稲城市の「もみの木保育園」。週2回、子どもを中心に地域の皆さんに食事を提供、加えて野菜、果物などを配るパントリーも週1回開催しています。

 訪れたのは水曜日のお昼前。明るく、こざっぱりとした園内の一室で母子10人ほどが昼食を始めるところでした。この日のメニューには、私たちが届けたトウモロコシを使っての「トウモロコシご飯」がありました。

 試食させていただきましたが、トウモロコシの甘さと、ほんのりと塩味のきいたご飯が微妙な味わいで、とても美味でした。塩、お酒少々、それにトウモロコシの芯も短く切って入れて炊き上げると、出汁が効いて美味しいとか。

 メニューはほかに「油淋鶏、キャベツのゆかり和え、大根の煮物、トマトの中華サラダ、人参といんげんの味噌汁、オレンジ」と豪華。私たちが提供した食材をたっぷりと使っていただき嬉しかったです。

 大人は300円、中学生以下は無料なので、皆助かることでしょう。

 調理は同保育園公益事業部長の田中逸美さんをリーダーに職員1人、ボランティア2人が担当。この日用意したのは26食分。午後遅くには民生委員の紹介を受けたお年寄りもやって来るそうです。

 金曜日は子どもが多く、73食を用意するとのことです。

 目についたのは幼い子どもを連れた若いお母さん。「子育てに追われ、ゆっくり食事の用意ができないというお母さん方が来ますね。子育て中のお母さんは意外と孤独なんですよ。若いお母さん方がつながる場になればいいと思います」と田中さん。

 ソスペーゾ多摩の活動方針は「食事を満足にできない子どもたちへの支援」

でも場所によっては、恵まれない子どもの食堂だけでなく、若いお母さん方の交流場所としての食堂があってもいいのかもしれません。それが子どもたちの幸せにつながれば。

 フードバンクとしても、さまざまな地域貢献の形があるのかな、との思いを新たにしました。 (有道)


2025/07/06

ありがとう

  ソスペーゾ多摩は、フードドライブなどで食料などを寄贈してくださる方に、御礼のチラシをお配りしています。