2025/12/28

「ゆく年くる年」

  この1年の世相を表す「今年の漢字」は「熊」が選ばれました。

 私たちフードバンク関係者や子育てに追われる親たちの中には、「やっぱり『米』か『高』じゃないの」と言う人もいます。「米の価格高騰」「物価高」に苦しんだ1年でした。それでも「熊」が選ばれたのは、各地で相次いだ熊被害が、いかに日本社会に衝撃を与えたか、ということでしょう。

 今年も残すところ、あと僅か。「年越し」はどう過ごしますか。

 「年越しそば」「神社へ初詣」「まだ仕事中」「飲んで歌って食べて騒ぐ」「友達とチャット」「オンラインゲーム」「テレビを観る」「一人で酒を飲む」「寝ている」。人さまざまです。

 私は、といえば、「除夜の鐘を聞きながら」ということになりそうです。除夜の鐘を108回撞くのは「108の煩悩を払い清めるため」と言われます。人間は「欲の塊(かたまり)」とはよく言いますが、煩悩は108種類もあるんですね。仏教の世界は奥が深いです。

 もはや「枯れ枯れ」の私には、煩悩などほとんど残っていませんから、除夜の鐘も二つ三つ聞くだけで十分、さっさと寝てしまえばいいのですが、大晦日はテレビでNHKの「ゆく年くる年」を観ます。

 午後11時45分、「紅白歌合戦」が「蛍の光」とともに終了すると、TV画面が瞬時に「ゆく年くる年」へと切り替わります。静寂に包まれた古刹の境内、「ゴ~ン」と重々しく鳴り響く除夜の鐘、 僧侶の読経の声、灯篭に灯がともり 雪の参道を踏む参拝客の足音……

続いて北から南まで日本各地の寺社仏閣、または教会の年越し風景がリレー中継されます。時計の針が午前零時を過ぎると、今度は照明も明るく、東京の浅草寺など参拝客で賑わう初詣風景に。そこで男女のアナウンサーが「新年明けましておめでとうございます」と元気よくあいさつ、新年が始まる、という流れです。誰が考え出したのか、見事な演出だなと思います。

 紅白の華やかなステージから一転、荘厳な日本の伝統の世界に身を置くことで、居住まいを正して1年を振り返り、新たな年の幸せを願うということでしょう。日本ならではの年越し風景です。そもそも海外の年越しは、教会の鐘が打ちなされ、威勢よく花火を打ち上げる賑やかな「カウントダウン文化」ですからね。

 「ゆく年くる年」は1955年放送開始と言いますから、かれこれ70年間、変わることなく、この風景が続いてきたことになります。世の中、「変えるもの」と「変えてはいけないもの」がありますが、「繰り返し」もまた大事なものです。

 この1年、災害や、自らの、または家族の病などに見舞われながらも、なんとか困難を乗り越え、家族一緒に無事、新年を迎えることができた。そこに私たちは安寧を感じる、ということでしょうか。

 ソスペーゾ多摩のボランティア活動は12月30日で終了、新年は1月6日から始まります。この1年、私たちの活動を支えてくれた皆々様に深く感謝申し上げます。良い年をお迎えください。        (有道)


2025/12/22

サンタさん、ありがとう

  クリスマスケーキの御礼のメッセージが届いています。

 写真も送られて来ました。ケーキを前に嬉しそうな子どもたちの顔、顔、顔

 「子どもの心を掴む、夢の詰まったクリスマスケーキを喜んでもらえました。本物のサンタさんはソスペーゾ多摩さんです。」 (ケーキを子どもたちに渡してくれた中間支援団体ピンクララタマの玉内智美さん)

 以下、 子どもたち、お母さん方からのメッセージです。 
 (順不同、原文ママ、お名前は略)

・ ソスペーゾ多摩様 シャトレーゼ様 いつも私たちの生活を沢山の力で支えて下さり、本当にありがとうございます。いつか私たちも皆様のように困っている人たちを助けられるようになります!! 寒い日が続きますのでお身体気をつけてください。♢♢

・ イチゴのケーキ大好きなので大喜びでした!「あわてんぼうのサンタクロース」♫♫を歌って ろうそくを吹き消していました。ごちそうさまでした。

・ いつもありがとうございます。夜まで待てず、大騒ぎ大喜びでした。✦✦✨✨✨✨

・ クーキ、ありがとう いつも (子どもの大きな字で、「ケーキ」が「クーキ」になっています。とお母さん)

・ いつも大掛かりなサプライズにうわ~っと声が上がります。♡♡

・ ケーキ 子供達、大喜びでした♪♪ ありがとうございます。

うちも大喜び。ありがとうございます!!

・ 子どもたちが喜んでくれて…。ひとときですが、ぜいたくな気持ちになってくれた嬉しい笑顔の写真です。♡♡♡

・ ご馳走さまでした✯✯✯✯✨

・ うちも大喜びでした。

・ ケーキ、とっても喜んでいます(絵文字)。ありがとうございます(絵文字) 末っ子の写真だけでごめんなさい。上の男の子たち、本当に写真が苦手で撮らせてもらえなくて(絵文字)

 以上

 メッセージとともにたくさんの写真も。子どもたちの嬉しそうな顔を見ていただきたいのですが、個人の写真は公開できないので、残念ながら掲載を見送ります。

 今回のクリスマスケーキ配布では、シャトレーゼ京王堀之内店をはじめ、多くのボランティアさんが配達などで協力してくれました。ありがとうございました。     (有道) 


2025/12/21

サンタがやって来た

  今年も、子どもたちが心待ちにするクリスマスケーキとお菓子を配りました。

 真っ白な生クリームに赤いイチゴが色鮮やか、ベーシックなデコレーションケーキです。とっても小さなケーキですが、キャンドルに灯をともし、歓声を上げる子どもたちの姿が目に浮かびます。

 私たちがXマスケーキを配るのは今年が5年目。「生まれてまだXマスケーキを食べたことがない子どもがいる」と聞いたのがきっかけでした。「食事を満足にとれない子どもたち」を支援するフードバンクは、主食用の食材が最優先。お菓子や飲料は配っても、値の張るXマスケーキはとても無理。フードバンクの限られた予算では「手が届かない」と、端から諦めていました。 

 そんな時に協力を申し出てくれたのが近くのケーキ屋さん「シャトレーゼ京王堀之内店」(鳥潟徹也店長)でした。

 小さな丸形いちごケーキに手を加えた特製ケーキを、特別価格で提供してくれることに。「メリークリスマス」と書かれたデコレーションやキャンドルはサービス、追加分のケーキまで寄贈してくれました。

 昼前にケーキを受け取り、その足で子どもたちへ配達。ケーキの箱を受け取った子どもたち、最初は何が起きたのか信じられない様子で、それがクリスマスケーキと分かると、顔から笑みがこぼれました。

 ボランティアメンバーの一人が赤いサンタクロース姿でお菓子も渡し、子どもたちには素晴らしいクリスマスになったようです。やはりXマスケーキはふつうのショートケーキとは違う特別なものなんですね。

 イルミネーションまたたくクリスマスツリー、サンタクロースのプレゼントやXマスケーキに心躍らせた幼いころの幸せな時代を、懐かしく思い出す人も少なくないはずです。何か悲しいことがあって、苦い思い出と重なる人もいるでしょう。

 それでもクリスマスの思い出はいつまでも残り、誰もが心の中にいくつものクリスマスをしまい込んでいるのかもしれません。

 クリスマスはイエス・キリストの生誕を祝う日なので、キリスト教徒の国ならば、どこも同じ過ごし方をするのかというと、そうではないようです。各国、各地方それぞれ違った楽しみ方があるそうですね。ただ、日本も含め、キリスト教徒以外の人々もクリスマスを楽しむ文化は、今や現代世界に広く定着しています。

 皆さんも聞いたことあると思いますが、クリスマスにイチゴのデコレーションケーキを食べる習慣は日本独特のもので、海外では一般的ではないようです。      (有道)

   ——Merry Christmas—— 


2025/12/14

年末恒例の食料配布

  年末を迎え、今年も多摩市恒例の「食料の無料配布」が行われました。

 多摩市内のボランティアネットワーク「多摩地域企業・大学等連絡会」(ゆるたまネット)主催のこの企画は、今回が5年目の開催。多摩ボランティア・市民活動支援センターによると、「生活が大変な家庭」で、①大学生以下の子どもがいる世帯 ②生きづらさを抱える若い世代とその同居家族—が対象ということです。

 配布したのは「お米」「レトルト・インスタント食品」「お菓子」「果物野菜」など食品のほかトイレットペーパーや学用品を含む生活必需品。いずれも「ゆるたまネット」に参加する企業や多摩市内の一般市民から寄贈されたものです。

 今年は12月12日(金)~14日(日)の3日間開催され、日替わりの市内3会場(大妻女子大学、旧豊ヶ丘中学校、多摩ボラセン)に、事前予約していた人たちが市内各地域から続々と詰めかけ、食料や生活物資を受け取りました。自転車でやって来た人も多く、荷物を前後の荷台などに山と積み込む姿が目立ちました。

 「物価高で大変です。お米はすごく助かります。」と話す子ども連れの親子も。みかんや柿など果物も豊富にあり、皆さん、とても嬉しそうな様子でした。同センターによると期間中の来場者は約200世帯、計500人程に上り、「昨年より希望者がさらに増えた」そうです。

 期間中は、同ネットワークに加盟する私たちソスペーゾ多摩も全面的に支援、配布食料を提供し、吉岡美香代表を先頭に、各メンバー総出で事前準備、配布作業をお手伝いしました。

 寒い中、物資を受け取りに来た方々、長時間立ちっぱなしで配布作業を手伝った多数のボランティアの皆さん、お疲れさまでした。         (有道)

 


2025/12/07

クロワッサン再び

  生活協同組合 パルシステム東京から大量のパン(クロワッサン)の提供を受けました。今年7月に次いで2度目の支給です。ありがとうございました。

 パルシステム東京によると、同生協は新型コロナ禍の2020年に「暮らしに困っている方をお米で支える募金」の制度を立ち上げ、以来、この基金で都内のフードバンクや子ども食堂にお米を届ける活動を続けています。

 ところが、昨年来の価格高騰でお米の調達が難しくなり、代替策として今年からパンの提供に切り替わりました。「今回もパンの支給となります。お米を配りたいのですが、残念ながら依然として難しい状況です。」と同生協多摩配送センターの増田勇さんは苦しい事情を話してくれました。

 確かに、頼りにしていたパルシステム東京からお米の支給がストップするのは、フードバンクにとって大きな痛手です。お腹をすかせた子どもたちがほしいのは、やはりお米なんですね。

 とは言っても、やはり現実は厳しく、お米の価格が下がる気配はなかなか見えてきません。この1年、他の団体からの提供もめっきり減り、今は十分にお米を配ることができないのが実情です。子どもたちには本当に申し訳ないのですが、耐え忍ぶしかありません。

 そんな中で今回のクロワッサンの支給。「お米を配れないなら代わりにパンを」と代替食料を確保し、支援の灯を消さないように頑張ってくれるパルシステム東京の皆さんの誠意に感謝します。

 いただいたクロワッサン(ロングライフ)は小袋に詰めて、既に配布を始めていますが、年内には多くの子どもたちに届ける予定です。   (有道)

 


2025/11/30

「栗ぜんざい」に万歳!

  「子どもたちにどうぞ」。東京の有名菓子製造会社が和菓子の「栗ぜんざい」を大量に寄贈してくれました。今年8月の「フルーツゼリーと葛(くず)菓子」に次ぐ第2弾。今回も、やむを得ない事情で販売キャンセルとなった商品ということです。

 餡(あん)の中に大粒の栗が丸ごと1個入り、小豆の風味とともに味わう本格的な「栗ぜんざい」。このような高級菓子はめったに口にすることがないので、子どもたちより先にフードバンクの私たちの方が恐縮してしまいます。

 栗ぜんざいは、そのままお菓子として食べて、栗の美味しさを味わうのはもちろんですが、白玉団子、お餅とともに「お汁粉」でも美味しく食べられますね。

 60個入りが計240箱。ソスペーゾ多摩のメンバー5人がマイカーで出掛け、東京・八王子の同社工場で受け取りました。同社の佐藤常務が先頭に立って積み込みを手伝ってくれるなど、皆さんの温かいご支援に感謝するばかりです。

 早速、子どもたちに届けました.。思いもかけず飛び込んだプレゼント。「わあ、フードバンクから、こんなものまでもらえるんだ」と皆さん、珍しい和菓子を見てびっくりしていました。

 本当にありがとうございました。     (有道) 

 


2025/11/23

まだまだ続く熊の脅威

  前回に続き、「熊の出没被害」について考えます。

 熊は冬眠する動物、冬になれば出没は減るのでしょうか。答えは「NO」です。

 研究者によると、近年は冬眠しない「穴持たず」の熊が増えているそうです。冬でも人里に食べ物があるので「冬眠の必要なし」ということです。となると、12月以降も各地でクマが人を襲う恐れは十分あり、まだ警戒が必要です。

 「穴持たず」は攻撃力が高く危険。前回取り上げた大正4年(1915年)12月、北海道苫前町で起きた「三毛別羆事件」の羆も「穴持たず」と言われています。

 熊被害がなぜ多発するのでしょうか。既にニュース解説や研究者の報告で数多く指摘されていますが、素人ながらに要因をまとめてみました。

 直接要因として、研究者らが指摘するのは「熊の主食のブナなどドングリ類の凶作」です。次に中長期的要因として鳥獣保護政策と狩猟者減少による熊の個体数の増加、里山の荒廃、都市開発による住宅地の拡大など人間生活圏の変化——が挙げられます。

 それでも、「なぜ熊は人を襲うまで狂暴化したのか」という疑問が残ります。「エサ不足で飢餓状態にあるから狂暴になる」など諸説ありますが、いまひとつ、はっきりしないのです。 今秋は人間が複数で行動していても襲われ、あるいは最初から意図的に人を狙って攻撃する事例も発生。「特定の個体の特異な行動なのか」「熊に人間への警戒心がなくなっているのか」、よく分かりません。

 2019-23年に北海道東部で、「OSO18」というコードネーム(発生場所の標茶町オソツベツ、幅18cmの前足跡から命名)を持つ羆に放牧牛66頭が襲われ、酪農家を震撼させる事件が起きました。テレビなどで報道されたので、ご存じの方も多いはず。「OSO18」は警戒心が強く、罠にも掛かからず、4年近くも追跡をかわしながら「犯行」を重ね、最後は地元ハンターに偶然仕留められました。

 この時、言われたのは、この個体は増え続けるエゾシカの死骸を食べて食肉の味を憶え、牛の襲撃を繰り返したのではないか、ということです。

 本州でも近年、増え続ける鹿や小動物をエサとして捕食、肉食の味を知った熊が増えた、との指摘があります。加えて中長期要因①で指摘される「狩猟者の減少」があります。「狩り」で人間に殺されることが減り、人間への警戒心を持たない熊が増えたのではないか、ということです。人間を襲う「狂暴化」の理由として、これが一番妥当な答えかと思います。

 熊の被害急増が一挙に社会問題となったことで、政府、自治体も対応に追われました。自治体首長の判断で市街地でも猟銃を発砲できる「緊急銃猟」の制度もつくられ、熊の捕獲、駆除が強化されています

 熊の駆除に自衛隊の出動まで求める声も出ました。自衛隊の武器は当然ながら「人間相手の戦闘」に使用するものなので、熊相手は法律的にも難しく、結局は後方支援だけです。 

 そこで「人の命と安全を守る」警察の出番となりました。警察庁の動きは素早く、特殊銃(ライフル銃)を熊の駆除にも拡大できるよう国家公安委員会規則を改正、関東の銃器対策部隊が被害地域に派遣されました。

 東北の地元では応援部隊を歓迎していますが、地元ハンターからは心配の声も上がっています。「住宅街の広いところで、うろつく熊には対応できるが、物陰から急に飛び出す、または猛スピードで向かって来る熊にはとても対応できない。経験がないと無理」ということです。

 「警察のライフル部隊はハイジャックなど凶悪犯を制圧する訓練は受けていても、素早い動きの動物を射殺するのは慣れていない。撃ち損じでもすれば、社会的な批判も大きい。リスクの多い任務です」(元警察幹部)との指摘もあります。

 警察の応援部隊がいつまでも現地に常駐できるかも分からず、警察や地元ハンターによる駆除作戦は、人身被害を食い止めるための緊急避難的な措置。いずれ、「生息個体数の見直し」をせざるを得ず、結局は専門のハンターを急いで育成することが必要でしょう。

 熊被害の急増は、これまで指摘したように、過疎化などで日本人の社会生活、土地利用などが変化、また気候変動など自然環境が変化するなど様々な要因が絡み合って起きていると言えます。

 要するに地方で人々の営みが縮小、山や農地が荒れてしまったのです。木こり(木の伐採)やマタギ(狩猟者)も今や職業として存在しない時代。そこに鳥獣保護政策も加わり、山や市街地で、野生動物が「我が物顔」に動き回る状況になったのですね。

 森林、里山など自然環境を元に戻すのはもはや不可能です。でも、このまま放置すれば、熊が「野良犬」のように、街中を日常的にうろつくことになります。どうすればよいのか。熊の出没問題は、日本の地方が抱える多くの問題を私たちに突き付けているのかもしれません。「国家レベル」での長期的な取り組みが必要だと思います。   (有道)